書庫

□黒崎家の節分
1ページ/1ページ

「お兄ちゃん、そのお皿とって」
「はいよ、夏梨、そっちは?」
「枡は準備出来たよ、一兄」

普段から仲の良い黒崎兄妹が、今日も仲良く何かを用意している。
三人でそれぞれ分担して用意しているのは『煎り豆』と『恵方巻き』ー節分の準備だ。
ちなみに、豆を煎って枡に入れているのは夏梨。恵方巻きの具を用意しているのは遊子。それを巻いているのは一護。一心は別の部屋で何かしている。(うざいので隔離した)

「おっし、これで全部だな。」
「今年は多いね」
「一兄、豆と恵方巻きをあげるって啓吾さん達?」
「いや;チャドとか浦原さんとこだ」
「ふ〜ん、そろそろヒゲ出す?」
「ああ、頼むな、夏梨」
準備が出来て、夏梨がキッチンの扉を開ける。
と。
「ぅおおぉにいぃぃぃわぁあああうちぃぃぃぃぃぃ!!!」
「うわ!!!!」「きゃあ!!!」
真っ赤な鬼ーの格好をした一心が飛び出てきた。
(あー、やるとは思ったけどな)
『今、鬼は内っつたぜ;』
もはや驚く事もしない一護と呆れつつ突っ込む朔護。
ドリフのコントを思い出させるような鬼の衣装の一心に力一杯豆(投げる用)を投げつける夏梨と遊子。
「ふっふっふ、今年はパワーアップした父さん鬼には豆なんぞ効かんのだ!!!行くぞ!!遊子!!」
実の娘に飛び掛る一心。
「来るんじゃねぇ!!!」
それの顔に飛び蹴りを食らわせる夏梨。
(ナイスキック)
『顔面にクリティカル、流石だな』
それぞれの感想を持ちつつ眺めている一護と朔護。
「…お父さん鬼復活!!!!」
が、再び娘を襲おうとする一心。
「な!!」
(いい加減にしろよな…)
『どうすんだ?』
呆れ半分、怒り半分の一護は投げる用の豆が少し入った枡をおもむろに持ち上げた。
(こうする)
と、腕の力のみ(それでもかなり強い)で投げつけた。
ガンッッ!!!
「ぶへ!!!」
枡の跡がくっきり残ったまま一心は倒れた。
『なるほど』
「よっし、鬼も倒したし、片付けすっか」
パン、パンっと手を叩きながら促す一護と何にも気にせず頷く夏梨と遊子。
手際よく片付け、恵方巻きを食べ、皿なども片付ける。

「じゃ、悪いけど留守番頼むな」
そう言って作っておいた豆と恵方巻きを持って家を出る一護。
「いってらっしゃーい」
「あんまし遅くなんないでよ、一兄」
そう言う二人に見送られつつ。
(あー気が重てぇ;)
『じゃ、行くな』
(そういう訳にもいかねぇだろ;)
『別にいいじゃねぇか、あんな奴等』
(いやいやいや;だめだろ;流石に、約束してたし)
『押し付けられた、の間違いだろ』
(…; 今日はやけに機嫌が悪いな;)
『フン』
(…なんなんだ、一体;)


「あぁ、来た来た、黒崎サン。遅かったじゃないですか、皆待ってますヨン」
「昼食って来るって言ってあっただろーが;」
「はいはい、さっさと入って下さいね」
浦原に引きづられつつ浦原商店に入る一護。
「遅い!!待ちかねたぞ、一護!!」
「お待ちしておりましたぞ、黒崎殿」
「なにをしておる、さっさと食い物を出せ、一護」
「是非恵方巻きをごちそうになりたいね、ねぇ一角」
「そのために集まったんだからな」
「ム」
「えへへ〜」
口々に言うルキア、テッサイ、夜一、弓親、一角、チャド、織姫、その他にもジン太に雨、乱菊、冬獅朗、恋次まで揃っている。
「ほれ、豆と恵方巻き」
と半目で面々を見やりながら包みを差し出す一護。
真っ先に食らいつく夜一やジン太、すぐに手を出すルキアや乱菊とそれに続く数人、呆れつつも残りに手を出す冬獅朗、チャド、テッサイ、雨。
(なんで皆必死なんだ?)
『…(気づいてねぇのかよ;)』

(やはり上手いな)
(役得。役得。)
(滅多にないからな)
(やっぱりおいし〜)
(黒崎さんは妹さん達にしか作ってくれませんからね)
(こうでもせんと一護の手料理を食えんからの


つまり、みんなは一護の手料理を食べたいが為に節分を利用したんです。

(そんなに腹減ってたのか?)
『(違うんだけどな; まぁ言う義理なんざねぇし)』

全てを知るのは朔護のみだったりする。


あとがき
節分という事で、書いてみました。
が、途中から自分でも収集つかなくなりました;
たのしんでいただければ幸いです。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ