書庫2

□秘密の練習
1ページ/1ページ

護廷から少し離れた森の奥、息抜きしようと散歩をしていた一護はチャドに誘われて修兵に会いに来た。
「よ、よう」
まだ余り話した事の無い一護に、照れを隠しながら修兵は恋次達にするように片手を上げた。
「どうも」
「ム」
同じように片手を上げて答える一護とチャド、その様子に修兵も少し肩の力を抜く。
「…で、なんでここなんだ?」
「…それ」
ただチャドに誘われるままに来た一護は改めてチャドと修兵に聞く。
それに対し修兵の持っていたギターを示すチャド。
「なんだ、こっちにもギターってあるのか?」
「いや、俺が現世で気に入って持ってきただけだ」
「だから教えて欲しいと言われた」
ギターがコッチの世界にある事に感心した一護に、チャドと修兵が言う。
「お前も弾けるだろ;」
「足りないし、教えれない」
チャドに一護が言えば、護廷の方を指差され、次に短く言われる。
「ハショんな、用は手伝いがあるから時間が無いんだろ…わかった、頼まれた以上は代わってやるよ」
「…すまない」
「いいって、元々ギターは俺のポジションだしな」
軽くやりとりすると、チャドは手伝いの約束があるからと戻っていった。
「っつー訳だ、代打で悪いが俺が教えりゃいいんだよな」
「ああ、頼む。何しろ昨日基本を教えてもらったところなんだ」
振り返って改めて一護が言えば、修兵は内心でガッツポーズをしながら答えた。
「なぁ、最初に見本を見せてくれよ」
自分のギターを一護に押し付け、修兵は頼んだ。
「別にいいけど…なんかリクエストあるか?」
「いや、お前の好きはやつを聞かせてくれ!」
「ん…だいぶ久しぶりだからな、上手く出来るかわからねェけど……」
少しでも好みを知りたい修兵が勢い込んで言えば、さしてその様子を気にせず一護は了承してギターを抱えなおした。
ピンッと弦の張り具合を軽く確かめ、一護はギターを弾き始めた。
細やかに動く指、手馴れた様子で奏でられる音楽。
軽快で躍動的なリズムが一護の腕と指の動きから生み出されては響き渡る。
心地よい余韻を残し、一護は弾き終わってギターを労わるように押さえ終りを示した。
「こんなんかな…」
照れてほのかに赤くなった頬を掻きながら一護はギターを返した。
「すっげェ…なぁ、今の曲を教えてくれよ」
着物であるのが残念だと思うほど一護がギターを弾く姿は似合っていた、それを知った事に後輩や上司達に優越感を覚えながら、しかしそれ以上に感動しながら修兵はいう。
「ああ…まぁいいけど」
暇だし、と一護も軽く承諾し、これから現世へと一護が帰るまで秘密のギター練習は続いたのだった。



あとがき
ごめんなさい、なんでかこんなネタ;
修兵にもう少し良い思いをさせるつもりだったんだけどな…;
なにはともあれ誕生日おめでとう修兵!!
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ