書庫(捧げ物)

□虫と獣と天を凌ぐ花
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まだ一護と朔護が死神になったばかりの頃、一番隊三席と四席、山本総隊長の下にいます。

「一護、爺さんから呼び出しだぜ」
地獄蝶を手の甲に止まらせて朔護が一護に言う。
「ん、じゃぁ行くか」
休憩していた一護が立ち上がる。
「ああ」
朔護もその後に続く。

[みろ、黒崎三席だ]
[相変わらず綺麗なお方だな…]
[ああ、四席さえいなければな、声をかけてみるのにな]

廊下を歩くだけで聞こえてくる一護への賛美と自分への妬み。
(身の程知らずどもが…)
『全くだな』
(今黙らせたいけどバレるしな)
『一護は恐らく聞いていないだろうから今は我慢だな』
(ああ、今は、な)
『どうせそのつもりだったんだろ? 俺にも暴れさせろよ』
(少しならな)
ニッと他の者に気づかれぬ程度に口の端を上げる朔護。

「今度はなんだ?山本の爺さん」
執務室の扉を開けて早々に朔護は聞く。
「ふむ、造巣常駐型の虚が群棲していての、並の者では死にに行くようなもの、どちらか頼まれてくれんかの」
朔護の態度を気にも留めず、山本は言う。
「別にいいけど、どっちが行く?」
一護が朔護に聞く。
「残った方は何をやるんだ?」
朔護は再び山本を見て問う。
「書類の整理を手伝ってもらいたいのじゃが…」
言葉を濁す山本。
「決定じゃねェか;」
「だな、駐留地のデータくれ、さっさと片してくる」
それぞれ言う一護と朔護。
「すまんの、ほれデータじゃ」
朔護に書類を渡す山本。
「じゃ、行って来るな」
「頼むぞ」
「ヘマすんなよ」
「誰に言ってんだよ、すぐに戻る」
そう言って朔護は出発する。

(さっさと戻るぜ)
『虫がつかない内に、か?』
(当然)
『じゃあ暴れるぜ』
(そうこなきゃな、いくぜ)
『おう!』
虚の巣に向かいつつ話す朔護と白牙。
「退きな雑魚共!!」
『群棲するしか出来ねえ屑が邪魔すんじゃねェよ!』
狩りをするかのように虚を片付けていく朔護。

(少し手間取ったな)
『俺はもう少し遊びたかったけどな』
(いくら爺さんの所とはいえ、一護が気になる)
『無自覚だからな;』
(だから危ねぇんだよ;)
『危ないのは斬月が注意するだろうが…』
(本人がな;)
『それはどうしようもねェしな;』
全力で戻る朔護。

「黒崎三席、休憩にしませんか?」
「三席、是非手合いの相手を…」
朔護がいないという滅多に無いチャンスを狙う隊員達。
「悪いけどまだ仕事あるし、手合いは加減出来ないとお前ら死ぬだろ;」
斬月の忠告もあって一護は全部をあしらっていた。

「随分楽しそうだな、そんなに仕事はかどってんのか?」
「「「四席!!!」」」
「終わったのか、早かったな朔護」
帰って来た朔護に顔を引き攣らせる隊員とのん気に出迎える一護。
「雑魚の集まりだったからな、ただいま、一護」
「おかえり、朔護、じゃ爺さんに報告しに行くか」
「ああ」
挨拶を交わし、一護の隣に行く朔護。
自然に隣に行く朔護に隊員達は何も言えずに下がって行く。

(ま、今回はギリでセーフにしてやるか)
『一度で引き下がったしな』

「ご苦労じゃったの二人とも、朔護、少々聞きたい事があるのじゃがな」
「じゃ、俺は隣で支度してるな」
「すまんの」
「いや、爺さん、お先」
そう言って一護は部屋から出る。
「で?なんだよ?」
「程ほどにの…」
「わかってるさ、ある程度は修理費払ってるだろ」
「そうじゃな、悪かった、行ってくれ」
「ああ、また明日な」
そう言って朔護も部屋を出た。

「三席、今日飲みに行きませんか?」
「遠慮しとく」
「そんな事言わずに…」
「…うるせぇな」
しつこい隊員に対して霊圧を上げようとする一護。
「何してんだよ…」
「ひっッ…」
一護が霊圧を上げる前に圧倒的な霊圧が襲う。
「霊圧を戻せ、朔護」
腰を抜かした隊員に溜息をついて一護がたしなめる。
「…ふん、情けねえ奴」
霊圧を戻し、一護の腕を取って去っていく朔護。

「やりすぎ」
「あの程度で済ませてやったんだ、感謝されてもいいぐらいだぜ」
「…;」
「それとも半殺しの方が…」
「いや、今のでいい;」
朔護の言葉に言い直す一護。
「じゃあいいじゃん」
そう言って朔護は足を早めた。
「…そうだな」
腕を引っ張られつつ、一護も歩いていく。



あとがき
リクから逸れてしまった気が;
翡翠さま、取替え可ですので!
 

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