書庫(捧げ物3)

□幼き王はかく語りき
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夜、再び虚退治をしていた一護はいい加減に鬱陶しくなり人影の方を睨む。
「とっとと出て来いストーカー。俺は暇じゃねぇんだ、要件があるならあるではっきり言え」
苛立ちを込めてやや霊圧をあげれば、人影は驚いた気配をさせながら一護の前に姿を現した。
「なんや、気付いとったんかい」
流石に喜助から聞いただけあるわ、そう呟きながら歩いて来たのは薄い黄色おかっぱ頭の青年。
「俺は平子、お前と同類や。仲良くしよ」
仮面をどこからともなく出して言うと平子は口角を釣り上げる。
「俺は俺だ、テメェの仲間にはならねぇよ」
話しは済んだとばかりに背を向けようとする一護、しかし平子は諦めてず話しを続けた。
「お前もわかっとるやろ、そのままだとお前は虚に喰われる。発症したら逃げられへんぞ」
「悪いけど俺はお前の手を借りる気は無い」
話し途中で感じた虚の霊圧に一護は有無を言わさず会話を打ち切り姿を消す。
(この霊圧……親父と浦原さんか、絡んでるとは思ってたけど。全部終わった時にどうする気か知らないけど一発じゃ済まさないのは決定だな)
『一発どころかボコボコにしようぜ』
『あれも丈夫だ、そのくらい構わないだろう』
思案する一護に同意し更に言い募る朔護と斬月、己の主たる一護を利用している二人が気に食わない為に容赦なく言い放った。
(そうだな、でも今はどの程度絡んでるかわからないし………。どう動くかな…)
藍染の所にいる仲間からの連絡でそろそろ先遣が来るのはわかっている、現世の被害を最低限に抑える為には自分が出迎える方が良いだろう。
その上、不確定要素の平子達がどう動くかも考えておかなければいけない。
(土壇場で乱入されるよりはマシだったか)
平子達に関しては一先ず様子を見て、浦原達や現世の仲間にはどうすべきか思案を続ける一護。
次の日、放課後に待ち伏せていた平子を蹴り飛ばして、一護はたつきの家に向かった。
「こんにちは〜、お邪魔します」
久々に訪ねた一護を快く上げてくれるたつきの母、顔を出したたつきに目で合図をすると何も言わず部屋で向き合う。
たつきの母が持って来てくれたジュースに口をつけ、一息してから一護は口を開いた。
「悪いな、いきなり」
「一発殴るかどうかは聞いてからにしてあげるわ、早く話して」
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