書庫(捧げ物3)

□雨のち凪のち暴風雨
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開発局まで来た一護は、開いていた扉から顔を出して躊躇いなく部屋に入る。
「マユリ、この書類よろしくな」
「わかっているヨ、一護。それより調子はどうかネ?」
早速書類を渡す一護に、マユリも嬉々として一護を構った。
「相変わらず君と斬月の同調値は素晴らしいネ、何度計っても最高値を更新してくれる」
成長期真っ只中の一護に合わせ、刀身がデカくなる斬月。
基本は一護の身の丈らしいが、マユリは会う度に他も変わっているかどうかを色々と計測した。
「丈以外に変わってたか?」
いつもの事なので慣れている一護も、興味はある為マユリに聞く。
「霊圧硬度がまた高くなっているヨ、防御力ではもう適う者がいなくなりそうだネ」
カチカチとデータを集約し、感心するマユリ。
それに軽く返事を返すと、一護は局員達を見回してから口を開いた。
「リンは買い出し?今日は早く上がれそうだから一緒に甘味屋巡りしようと思ったんだけど」
「此処にいないところを見るとそのようだネ。まぁ一護が言うなら奴も早く上がらせてあげるヨ」
「ありがとなマユリ、俺と甘味屋巡り出来るのリンと花太郎ぐらいだからさ」
甘味好きで良く一緒に色々と店を巡る一護と花太郎、リンの三人。
久しぶりに三人揃いそうだと喜ぶ一護に、マユリは阿近に目配せして霊圧を貯める事の出来る装置を持って来た。
「その代わりと言ってはなんだが、またお願いするヨ」
「おう!」
巨大な霊圧を保持する一護は至極簡単に請け負う作業だが、他の者達では数人掛かりでようやく出来る程度。
なので快く装置に霊圧を満たしてくれる一護の存在は開発局にとって有り難いのだ。
その見返りに局員一人を定時少し前で帰らせる事などマユリには容易い、むしろ報酬としては安過ぎると思っている。
しかし当の本人達が満足しているので良しとなり、今回もそうなった。
そうして一護は用事を済ませてリンに伝言を頼むと、仕事に戻っていく。


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仕事の定刻、賑やかになる街中。
飲食店は活気づいて客を呼び込み、その他の店もそれぞれにざわめく。
そんな中で、酒を飲みつつ増えていく集団が一つ。
甘味屋を巡る一護達に眉を顰めていた者達だった。
「餓鬼と貧弱者が」
「あれで二人は席官だってのが納得出来ねぇ」
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