書庫2

□六番隊隊舎から七番隊隊舎へ
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ストッ
軽い音と共に一護は着地する。

『行ったな…』
(なんだったんだ、全く…)
気配で二人が引き返した事を確認する朔護と、疲れたように溜息をつく一護。

「どうかしたのか?」
七番隊の敷地にいきなり現れた一護に、狛村が問う。
「あ、悪い。ちょっと挨拶に来たんだけど…恋次達に追っ駆けられたもんだから、飛び込ませてもらったんだ」
狛村に近寄りながら一護は説明する。
「なるほどな、とにかく上がってくれ」
「お邪魔します」
狛村に促され、一護は執務室へと踏み入る。
「おや、隊長、客ですかい」
「ああ、茶を入れてきてくれ、鉄左衛門」
「は」
一護を椅子に座らせ、狛村も向かい側に座る。
「改めまして、よろしくな、狛村さん」
狛村が座ったのを見てから、言う一護。
「こちらこそ、よろしく頼む…だが、貴公はワシが恐ろしいとは思わないのか?」
狛村が少し眉を寄せて聞く。
「何でだ?」
首を傾げる一護。
「この獣面だ、ワシのこの姿は異形でしかない」
「『異形』の基準がわかんねェな、俺には」
少々俯き言う狛村に一護は言う。
「何?」
「『異形』も『特殊』も、基準を外れてるって意味だろ、でもその基準は人それぞれだ。アンタが何を気にして言ってんのかは知らねぇけど、俺にとっちゃ『異形』でも何でもねェよ。それに、基準から外れてるのは俺も同じだし、そう一々言ってくる事なんざ気にしてたら疲れるだけだ」
どこか遠くを見つめて言う一護。
「貴公は、『異形』では無い」
「そうでもねェさ、現世の奴から見りゃ幽霊を見えるだけで『特殊』、こっちでも生きてるのに死神、しかも変に霊圧がデケェ、どっちから見ても変な髪色。どの道、好奇の目でずっと見られて、運が悪いと絡まれる、『珍しいモノ』の扱いだからな」
何でも無いように一護は言う
「違う、貴公の髪は綺麗だ、貴公自身も。だから皆惹かれるだけだ」
「じゃ、アンタもそうだ。皆、アンタ自身に惹かれてるから共にいる…そうだろ?」
「…そう、かもしれんな」
「そうだって。少なくとも、アンタはそうなんだろ?」
そう言って一護は扉のところにいた射場を振り返る。
「その通りじゃ、隊長、あんまし自分を卑下せんで下さい」
「ほら、な?」
頭を下げる射場を指し、一護は笑う。
「そうだな…ありがとう、一護」
「どういたしまして」
微笑み合う一護と狛村。
「そういえば、まだ名前、聞いてなかったよな?俺は黒崎 一護」
「そうじゃったの、ワシは射場 鉄左衛門という、副隊長をやっとるで、よろしく頼むけ」
「こちらこそ、射場さん」
自己紹介しあうと、三人で暫く話込んでいた。

「そろそろ戻るな」
「また来い」
「いつでも歓迎するでの」
「おう」
見送る二人に手を振って、一護は四番隊の隊舎へと戻った。

(そういや、どうやって白哉と恋次を弾いたんだ?斬月)
『結界だ』
(具象化しなくても出来るのか?)
『短時間しか張れない上に威力も落ちるがな』
『鬼道の一つだ、自分でも出来るようになれよ』
(そうだな…そん時はよろしく、二人共)
『もちろん』
『ああ、それまでは私が張る、焦らずに身に付けろ』
(わかった、今日はもう寝る。オヤスミ、斬月、朔護)
『お疲れさん、一護』
『ゆっくり休め』

『七番隊は避難場決定だな』
『四番隊と同等に安全だ』
『白哉と恋次はどうすんだ?』
『霊圧を感じ次第一護を逆方向へ誘導するしかないな』
『ま、避難所が三つになったことだしな』
『ああ』
今日の時点で白哉と恋次を要注意、狛村達を安全と判断した斬月と朔護。


あとがき
狛村さん登場、射場さんの口調が微妙;
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