書庫2

□八番隊隊舎にて 
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「本当にお見苦しいところをお見せいたしました」
「もしかして、毎日これか?」
「はい、慣れましたけど」
「たまには手厳しくしないと、調子に乗らないか?」
「大丈夫です、それもやってますから」
「…;ご苦労様だな」
「そう言っていただけると嬉しいですね」
執務室でお茶を飲みつつ二人は話す。
「お待たせ、一護ちゃん。ボクに用があって来てくれたのに悪かったね」
茶菓子を持ってきた京楽が言う。
「ちゃん付けは止めてくれ;俺は隊長さん達に挨拶に回ってるんだ。それと、京楽さんにはお礼も言いたかったからな」
京楽が向かい側に座ったのを見つつ、一護が言う。
「お礼?お礼を言うのはボクらでしょ?」
訝しげに言う京楽。
「チャドの事だ、京楽さんは殺さずに捕えてくれた、俺らは殺されてもおかしく無い状況だったにも関らず、な。それと、双極の破壊…どういうつもりだったにせよ、俺らの味方だったって事だろ。だから、ありがとうな」
ス、と一護は頭を下げる。
「チャド君が命を懸けたのが良くわかるね」
「チャドが?」
唐突に言う京楽。
「そ、彼はね、ボクが何で戦うんだいって聞いたら、君が命をかけてるから、自分にはそれ以上の理由は必要ないって答えたんだ…正直、それだけの覚悟を持ってるのは凄いな、って程度しか思わなかったんだけど、その相手が君っていうなら納得出来るよ」
微笑みながら、京楽は一護を見る。
「ああ、チャドらしい理由だ…」
嬉しそうに、呟く一護。
「「//////」」
その穏やかな表情に、七緒と京楽は見惚れる。

(あの約束、憶えててくれたんだな…チャド)
『一護?』
『嬉しそうだな』
(ああ、嬉しい。アイツらしいと思うしな)
『良かったじゃねぇか』
『そうか』
(おう)
穏やかな心中を感じて、それぞれ反応を返す二人。

「さ、お菓子でも食べてよ、一護ちゃん」
「いや、だからちゃん付けは止めてくれ;」
「なんで?可愛いからいいじゃない」
「男に可愛いって;」
マイペースな京楽に一護は脱力する。
「徳利最中?」
「そう!美味しいよ〜」
最中を勧める京楽。

『止めておけ、一護』
(どうかしたのか?斬月)
『それ、酒が入ってると思うぜ』
(ボンボンみたいなもんか…)
『そういう事だ、遠慮しておけ』
(そうだな)
二人の忠告に従い、一護は最中を置く。

「あれ?甘い物は嫌いなのかい?」
「甘いモンは好きだけどな、酒入ってそうだから止めとく。一応現世では未成年は飲酒禁止だし」
丁重に断る一護。
「そんな事言わずに、ね?」
京楽は一護に最中を渡そうとする。
「隊長…仕事が残ってるのをお忘れですか?」
京楽の手を掴んで、キツク言う七緒。
「それじゃ、仕事頑張ってな、七緒さん、京楽さん」
「もう行っちゃうのかい?」
「隊長は仕事をして下さい!! 一護さん、騒々しくてすいませんでした。良かったらまた来て下さいね」
「おう!お邪魔しました」
そう言って一護は八番隊隊舎を後にする。

(なんか…京楽さんのノリが、似てるんだよな;)
『一心か』
(そうなんだよ、七緒さんの突っ込みも夏梨を思い出させるし)
『ま、面白いからいいんじゃねぇの?』
(そうだな)
話しつつも四番隊の隊舎に一護は戻った。

『しっかり狙ってくれてたけどな』
『引き際を心得ている分、ある程度は大丈夫だと思うが…』
『どうだか』
『いざとなったら結界を張ればなんとかなるだろう』
『そうだな』
油断の出来ない京楽に警戒する二人だった。



あとがき
京楽さんと七緒さん登場、七緒さんの突っ込み方が難しいですね…
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