宝物庫

□二人で一つ、中途半端な俺たち
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と、一護は着替えた制服もそのままに押入れを漁った。
ガサガサという音と共に、小さな呻き声が聞こえ始める。
その手に逢ったのは・・・コンだ、改造魂魄の。
コンを出すということは、死神化するということなのだが・・・・
「おい、どうしたんだ相棒?何で死神化?」
「爺ちゃんに言われてるんだよ、定期報告って。」
「ふぅ〜ん。」
「って事だから、お前は残れよ。」
「やだ、俺も行く。」
「我が侭抜かすな、お前がいったら色々大変な事になるんだよ、紹介だってしてねぇし。」
「じゃあすればいいじゃねぇか『俺の恋人の朔護です』ってvv」
「いっぺん死んでこいやあぁぁぁ!!」
ドゴオォォ!!という音に起きたのか、コンはその柔らかい腕で柔らかい顔を擦った。
縫ぐるみ独特の音を立たせて、寝ぼけ眼に一護を見上げた。
と、突然一護の腕がコンの口の中を漁り始めた。
声になら無い悲鳴を上げて、コンは暴れたが無駄な努力に終わる。
出てきた緑色のソウルキャンディーを口に含み、一護は死神化した。
「何するんだ一護!!」
「悪ぃコン、留守番頼むな。」
「へっ?何処行くんだ?」
「尸魂界、定期報告行ってくるから大人しくしてろよ?」
「嫌だ、俺様も行く!!」
「駄目だっつってんだろ!!それとも何か?マユリちゃんとこにいくか?」
「―――――――っっッそれは、嫌だアァァ!!」
 一護の言うマユリちゃんとは、十二番隊隊長にして局長の変人、涅マユリのことだ。
二人がであったのは偶然の産物なのだが、まぁそれはまたいずれ。
コンは一度マユリのラボで解剖されかかった、ゆえにトラウマとなっているのだ。
ガタガタ震えるコンに『行って来るから』と告げ、一護は華麗に空へと飛び出した。

「っていうか、何であいつマユリちゃんとか言って・・・仲良いのかよι」

仲がいいんです、けどそれもまたいずれ。


さて、山本総隊長から自由に来れるようにと貰った地獄長をつけ、一護は穿界門を潜る。
以前とは違い、ちゃんとした死神代行として行くのだから、ゆっくり行けばいい。
とろとろと一護が歩くと、後ろから何か視線を、気配を感じた。
ばっと振り返れば、そこには誰もおらず・・・・あれ?と首をかしげた。
気のせいか・・・と思い直し、先を急ぐ一護。
けれど、その視線は気のせいではなかった。彼を見つめる一対の瞳。
それは暗闇と同化し、やがて消えていった。

「さて・・・と、とりあえず爺ちゃんとこに・・・」
「いっちゃあぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜んvv」
「――ゲぇ・・・市丸ι」
「ゲぇ、とは何や!酷いわぁ〜僕めっちゃ傷付いたで!!」
「あ・・・ご、ごめんι」
「キスしたら許してやるさかい、はいいっちゃ〜〜〜(―ごすッ)
今にも抱きついてきそうな市丸を止めたのは、彼の副官イズルだった。
相変わらず顔色が悪い、そして幸が薄そうである。(酷っ!?)
そんな事を思いながら、イズルに殴られる市丸をただなんとな〜くみていた。
やっぱりココの隊は『隊長』とか『副官』とか関係ナシだよな〜
何てどうでも良いことを考えながら、あえてイズルにだけは挨拶をした。
「こんにちわイズルさん、今日も大変そうっすねι」
「ごめんね一護君、うちの馬鹿隊長が迷惑をかけて。」
「いっいいえι」
「――こぉらイズル、誰が馬鹿隊長やねん!!」
「あんたのことだボケえぇ!!書類が溜まってるんです、今日は徹夜で終わらせていただきますからね!!」
そのあまりの剣幕に一護だけならず、市丸までもが竦んでしまう。
サボり魔市丸はイズルの凄みに思わず・・・・
「はっはいι」
と返事をしたのだった。
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