宝物庫

□バレンタイン&ホワイトデー
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一護side...

本日水曜日、一週間の真ん中である。
にも関わらず、一護はコンに学校を任せて尸魂界に来ていた。
とりあえず一番隊に挨拶をしに行き、事情説明と手作りチョコを渡した。
困ったように話す一護に、元柳斎は複雑な顔で謝ってきた。

「すまぬ、一護よ・・・」
「いや、こっちこそ、数日ほど使いもんにならなくしちまうけど・・・」
「よいよい、存分に鬱憤を晴らすがよい。」

では、わしは執務が残っているのでな・・・と、元柳斎は席を立った。
一護もそれに続き、一番隊を出る。
そして、制御装置を外し、わざとといっていい程霊圧をもらした。
勿論、餌に喰らいつく馬鹿どもを懲らしめるためである。

「きたきた・・・」

「一護、来てたのか!!」
「なら、俺の所に来てくれればよかったのに。」
「一護、漸く私の元へくる決心がついたのか。」
「おい!一護今日こそ試合しやがれ!!」
「全く、美しくないね・・・」
「お前はそれしかいえねぇのか?」
「一護く〜ん、僕と一緒にお酒――ゲハッ!?」
「未成年に何言ってんだ、爺。」
「日番谷隊長、京楽が死んでるぞ・・・」

きたきた、上から・・・恋次、修平、白哉、剣八、弓親、一角、京楽、冬獅朗、そして浮竹。
内心『馬鹿だなこいつら・・・』と思いながら、一護は微笑でそれを隠す。
にっこり☆と効果音がつきそうなくらい綺麗に笑った一護。
それに見惚れるもの半数、そしてさっさと危険を察知し逃げるもの僅か。
その僅かの中にはいっていたのが付き合いの長い弓親と一角そして冬獅朗。
伊達に一護の『内側』にいるわけじゃない、なんと言うかこれは・・・ヤヴァイ方の笑顔だと彼らは理解していた。
という事で、こそこそとその場を後にした3人。
すると、彼らと入れ替わるようにやってきた侵入者・・もとい、藍染とギン・・・そして穴空き軍団。

「何でアンタたちがいるんだ!!」
「そうだ修平先輩、もっと言ってやれ!!」
「一ちゃんからの愛の手紙をもろたんよ、お前等とは雲泥の差なんや。」
「「なっ何ぃ――!!」」
「総隊長の許可は取ったぜ?」
「そう言う問題なのか?」
「どうでも良いが、さっさと殺し合いしようぜ?」

まず、い・・・このままだと話が長くなりそうだ・・・
一護は集まってきたものたちに、綺麗な笑みを浮かべ・・・ある箱を差し出した。
それは小さく、ほんの少し歪な形をしていて・・・一目で手作りとわかる品。
照れくさそうに頬を染める一護、そして本日の現世の状況を考えれば・・・答えは出てくる。
皆のこと、好きだからサ・・・・と俯きながら、一護はその桃色の箱を彼等に手渡した。

「一応、手作りってのにしたんだ・・・美味いかはわかんねぇけど。」
「一護君の手作り!?」
「めっちゃ嬉しいわ〜vv僕以外にも貰ってるってのが気に喰わないけど・・・」
「こらギン、一護君を困らせるんじゃないよ・・・本命以外にもこうやってくれただけましだろう?」
「そうか、一護はついに朽木家に・・・」
「それは違うと思うよ、朽木君。」
「アレ、私のは・・・」

日ごろ菓子を与える立場の浮竹は、貰う経験が少ない。
すごく嬉しそうに手を出したのだが、その掌には何もなかった。
一護は困ったように頭をかくと、実はルキアに頼んじまったんだと申し訳なさそうに謝った。
その顔を見て誰もが庇護欲を書き立てられ、「可愛いvv」と心の中で悶絶していた。
最も、この面子は心の中だけですまない奴等の固まり・・・だからこその天誅。

「――じゃあ、俺は帰るから!!・・・絶対、食べてくれよな。」

『――当たり前(だ・じゃないか・だよ)!!』

揃った声を聞きながら、一護は穿界門へと消えていった。
浮き足立つ残された面子。
そんな騒ぎを聞きながら、かの人は茶を飲み後呟いた。

「馬鹿は救われないネ〜・・・」
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