宝物庫
□掲げる花は?
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「………!!!??」
「あっ、お帰りなさい!黒崎君」
「……ムッ」
「それで?どうだった、黒崎?」
零番隊隊舎の入口で、混乱で固まっている一護に掛けられるお馴染みの声。
「……な…なんじゃこりゃーー!!!!!」
それらを一切無視して、隊舎内に雄叫びが響く。
叫び声の主は言わずもがな一護。
一護が雄叫びを上げた理由は目の前の惨状。
一護の目の前には木苺の苗の箱を抱えた織姫、法外な量のサフランの花束を持つチャド、パンジーの苗の箱を抱える石田が。
しかも足元にはまだまだ沢山の花束……
「〜〜っ!!煩いぞ黒崎!!来て早々叫ぶな!!
「んなこと言ったって、この惨状を前にして落ち着いてられるか!!何なんだこの花束は!!」
耳元で叫ばれた石田が抗議の声を上げるが、一護が足元の花を指差して説明を問えばちゃんと答える。
「…あぁ。何か朽木さんから話が広まったらしいんだけど…」
「私達が隊花を決めたがってるってのが、黒崎君が花を欲しがっているって噂になっちゃったみたい!」
新たに山百合の花束を取りに来た井上が楽しげに石田から説明を引き継げば、一護は開いた口が塞がらなかった。
「はぁ?どこをどう間違えたら、そんな噂になるんだよι」
「僕が知るか。それにしても、この量はいくら何でも迷惑だ。引き取りに来て貰え、黒崎」
「わーってるよ。地獄蝶で連絡すっか」
そう言うと、贈り主達に連絡を取るために奥の部屋へと消えて行った。
それと行き違いに帰ってきた朔護。
「あっ、お帰り朔護」
「おぅ。目の前の花束は何となく分かるから良いとして、何でお前ら此処に居るんだ?」
朔護の言葉に、二度説明せずに済んで助かるよ、と苦笑した石田が教えてくれた。
「もし隊花が決まっていないなら現世で頭を捻らせるよりも、実際に尸魂界に咲いている花から選んだ方が良いと思ってね。調度明日から春休みだし、ついでに僕達の新しい隊舎も見ておこうと思って」
「それで、全員でこっちに来たのか」
「あぁ。折角だから数日は此処に泊まろうかと話してたんだが、朔護達もどうだい?」
石田の誘いに朔護は、一護に聞く、と言って一護同様奥に消えてしまった。
「…朔護も花片付けるの手伝って欲しいよ…ι」
花の大量に入った箱を抱えた石田の呟きを残して…