話。君と僕。
□たまには勉強でも。
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ぎゅー。
祐希を抱きしめた。
いつもは祐希が抱き着いてくるから、こんなときは俺から。
俺よりちょっと背が低くて、俺よりちょっと軽くて、俺よりちょっと……
双子だからって、全部が全部一緒じゃない。
俺とおんなじような顔してても、祐希は祐希、俺は俺。
抱きしめたとき、祐希のにおいがする。
案外華奢な、祐希の体がある。
そして、祐希だけの温もりがある。
「めずらしいですね、悠太くんがこんなことするなんて。発情期ですか?」
「だとしたら祐希は年中発情期じゃない」
「……悠太だからいーの」
祐希の腕が首に絡み付いた。
よく見えないけど、ちょっと顔が赤いような。
………と、ひらめいた。
「祐希くん」
「何?」
「祐希くんは、お兄ちゃんと一緒に居たいんだよね?」
「……うん」
嫌な予感を感じたのか、祐希が身をひこうとしたけど、俺はがっしり抱きしめて離さないようにした。
そして、祐希の顔を自分の顔の目の前に固定させ、俺はとびっきりのスマイルを浮かべた。
「じゃ、お勉強しましょう♪」
「………………げ、そういえば読みかけのアニメージャが…」
「祐希くん、確かアニメージャは読破したとか言ってたよね?お兄ちゃん聞きました」
「地獄耳………ちょ、離してって、村人がオレの助けを待ってる」
「もう全クリしたでしょ、お兄ちゃん見ました」
「………鬼………」
「なんとでも」
こうして、俺はまた勉強を再開することになった。
今度は、素敵な弟つきで。
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