*CODE:BREAKER
*ネタバレ有り






「いつも思うのだが、音羽ちゃんと骸殿はどのような関係なのだ?」


『え…?』




桜に期間限定のパフェを食べに行かないかと言われて、来てみたら出会い頭にこんな事を言われた。
パフェを食べていた手を休めて音羽は、きょとんと桜を見る。
ちなみに同じテーブルには"珍種"と"六道骸の分身"を監視している二人のコード:ブレイカーが座って居る。




「前々から疑問に思っていたのだ。いくら内臓を幻覚で補ってもらっているとは言え、様付けだし..何より体を貸す事もしなくてはいいんじゃないのか?」

「....要するに桜チャンは音羽チャンが六道骸に奪われたりしないかが心配なんでショ?」


「....刻くん?」


「ナンデモアリマセン(即答」




名門校の制服を着たオッドアイの少年"刻"が、桜を馬鹿にしたような口調で言う。
しかし背後から現れた般若とどす黒い声の低さに、呆気なく敗北した。




「よんばんは相変わらず弱いなー」




音羽の隣で座り、巨大パフェを食べている赤髪の少年"遊騎"はどうでもいいように言う。
"エデン"の仕事はしないと言っている彼だが、愛するキャラクター「にゃんこ」に似ている音羽の為なら例え火の中、水の中だ。




『桜は骸様が嫌いなの?』


「嫌いではないが....何もそこまで尽くす必要はないのでは?と思っただけだ」




数年振りに再会した親友は何もかも変わってしまった。
親に見捨てられ、愛情を注がれなかった不幸な少女。
だけど骸との出会いが音羽の人生を変えた。
どうやって答えればいいのかな?と悩んでいた音羽だが、自分の体にもう一つの意識が出てこようとするのを感じる。




『(骸様...?)』


(クフフフ..そんなに僕の事が知りたいんでしょうかね。
音羽少しの間だけ体を借りますよ)


『(うん..)』




ゆっくりと骸の意識と入れ替わり、目を開けた時には音羽の体には骸がいた。
先程の音羽とは何かが違うと感じた桜は警戒する。




「おやおや..せっかく現れたというのに酷い歓迎ですね」




姿と声は音羽だが、雰囲気や口調は全く異なる人物。
音羽に宿りし、柔らかい物腰と丁寧な口調をした人物――六道骸。
世界でもトップクラスの"悪"の登場に、刻と遊騎は戦闘体勢に入る。




「噂をすれば何とかって奴かヨ!!」


「いきなり現れるなんて思ってもおらんかった」


「クフフフ..いいんですか?この体は音羽なんですよ?
僕として可愛い音羽の体を傷つけたくないのですが」


「「!」」




骸の言葉に、戦闘体勢に入っていた二人はピタッと止まる。
そして悔しそうに歯で唇を噛み締め、椅子に座る。
「クフフフ…」と独特な笑い方をしながら、骸(姿は音羽)は桜の方を見る。




「僕に聞きたい事があるんじゃないんですか?
特異な体をした音羽の肉体を借りても、あまり長くは出られないんです」


「!何故…骸殿は音羽ちゃんの体を使う。自分の体を使えばいいんじゃないのか?」


「…………それには答える事は出来ませんね」




"復讐者"と呼ばれる者に連れられて、光も音も届かない最下層の牢獄に閉じ込められている。
そして信頼できる犬や千種の為に、特異な体を持つ音羽の力を借りている。
そんな事を彼らに言う必要なんて無いのだ。
例え音羽が信頼していても――。






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