薄桜鬼小説

□遊戯
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退屈……つまんない……だからちょっとした思い付きなんだけど、皆が結構簡単にのってくれて嬉しいよ。


『遊戯―計画編―』


時刻は夜中。千鶴ちゃんは既に就寝済み。お子様は早く寝なさいってことだね。まぁ寝ろって言ったのは土方さんなんだけどね。僕は早く寝なきゃいけないお子様は他にもいると思うんだけど。でも年齢的お子様と精神的お子様を含めたらほぼ全員が寝るしかないからね。仕方ないか。

それにしても平穏過ぎてつまらない。酒飲むしかすることがないんだけど。

「土方さんもお酒いりますか?いりませんよね。」

「………いらねぇ…」

「それは良かった。」

僕は土方さんに断ってから一升瓶をもう一つ用意した。左之さんもだいぶ飲んでるだろうから控えろとは言われないだろうし。

「もう酒盛りしてんのかよ〜」

襖が開いたかと思ったら平助くんが飛び込んで来た。ホントいつも元気で僕と2歳差とは思えない。

早速左之さんと新八さんと酒を飲みはじめた。

一くんは一人飲んでるし、土方さんは…座ってるだけ?何やってんだろ、この人。僕も一人で飲んでる訳だから一くんの事は何も言えないケド。

それにしてもつまらないなぁ…

最近巡察しても平和過ぎて刀は鞘に納まったままだし。なんか楽しいことないかなぁ…
僕はあまりのつまらなさに席を立った。男が集って酒をただ飲むだけ。千鶴ちゃんがいれば面白さが増したのに土方さんのせいだね。

「……何処に行くんだ…?」

一くんと目が合ってしまった。あーあ…もうめんどくさいなぁ。ここは正直に言うべきか…それとも嘘でさらっと流すか。

「…ん〜千鶴ちゃんとこ?」

「…………………………」

一くんは何も言わない。平助くんあたりだったらもう少し面白い反応だったと思うのに…

「そういえば千鶴は?」

「千鶴ちゃんはもう寝たよ。」

僕は酒を飲みつつ尋ねてきた平助くんに普通に答えた。

「寝てんのに行ってどうすんだよ。」

「僕ももう寝ようと思って。」

僕はニッコリ笑って返した。平助くんはどうやら固まってるみたい。やっぱりこうじゃなきゃつまらないよね。

「そっそれってさ……ダメじゃね?」

「何がさ。」

「何がって………千鶴はもう寝てんだろ?なら…」

「襲い甲斐があるよねぇ。」

ガシャンと音がして平助くんの着物が酒に濡れた。動揺し過ぎ。ほんと面白い。

「……どうせ嘘だ。」

一くんが酒を飲みながら言った。余計な事を言わないで欲しい。

「平助も総司の嘘にいちいち反応すんじゃねぇよ。」

「えっでも土方さん!総司なら本気でやりそうだよ。」

「そうだよ。嘘なんかじゃないですよ?」

僕が嘘じゃないって言っても平助くんしか慌てない。なんかなぁ…

「ほら僕は皆と違って男気があるし?」

「「…………………………」」

やっぱりこれには反応してくれた。土方さんも一くんも負けず嫌いの真面目人間だからね。口を開かなくとも僕の口車にのってきたのが分かる分かる。

「…総司…お前は俺に男気が無いって言いてぇのか?」

「言いたいんじゃなくて言ったんですよ。」

「総司てめぇは…毎度のことながらいい度胸だな。」

「光栄ですね。」

やっと面白くなってきた。土方さんはこれで終了っと。後は一くんと左之さんだなぁ。まぁ一くんは土方さんさえ落としちゃえば問題ないよね。

「じゃあ土方さんも僕と一緒に千鶴ちゃんと寝ますか?」

「ふざけんな!!誰がお前と!!」

「えっ?じゃあ千鶴ちゃんと二人きりがいいんですね。」

「な…?!」

「あれぇ?違いました?あっそうですよね〜土方さんには『無理』ですよね!」

はいおしまい。これできっとしばらくは楽しくなるよ。

「総司てめぇいい加減にしやがれ!!俺が無理なわけねぇんだよ!!」

ほらね。簡単簡単。
左之さんは苦笑してるところをみると僕が楽しんでるの分かってるね。楽でいいや。

「じゃあ土方さん。誰が一番男気あるか調べましょうよ。」

「やってやろうじゃねぇか!!」

「そうだなぁ……じゃあ千鶴ちゃんに気が付かれないように3日間添い寝して下さい。」

「…そんなの……簡単だな!」

「気が付かれたら終了。次の人に交代ね。」

「交代って?」

平助くんが恐々と尋ねてきた。目下彼は嫌な予感でいっぱいなんだろうなぁって思うと楽しすぎる。その予感は当たりなんだけど。

「誰が一番かを調べるんだから皆やらなきゃわからないでしょ?」

「ちょっちょっと待てよ!!それは総司と土方さんが言ってた事だろ?巻き込むなよ!!」

「じゃあ不戦勝でいい?因みに最下位は屯所の掃除、一ヶ月ね。」

「はぁ?!なんでそんなことしなくちゃなんないんだよ!!期間長いし…」

「最下位だもん。当然でしょ!ねぇ土方さん!」

「………………まぁ…な…」

土方さんは許可するよ。もう自分は逃げられないんだから、少しでも多く仲間に引き入れたいはずだし。

「土方さん!!」

「どうする?平助くん。」

「………………分かった!!やればいいんだろ!!やれば!!総司お前まじで最悪。」

「それは良かった。一くんは?……まさか3番組組長が勝負から逃げないよね?」

「………………………無論。」

うんうん。じゃあ後は…左之さんと新八さんか。

「左之さんはやるよね?」

「………千鶴の添い寝か……まぁ悪くはねぇな…少し気が引けるが…」

「左之さんだけ逃がすかよ!!」

「って!平助引っ張んな!……掃除なんかやってらんねぇしやるかな。」

「後は新八さんか…」

僕は新八さんを見たけど…ダメだね。泥酔中の熟睡中。話なんか無理だよね。

「新八は止めといたほうがいいぜ?こいつの場合マジで千鶴を襲い兼ねない。」

「……う〜ん……そうだね。じゃあ新八さんは抜きで!」

結局参加するのは土方さんと僕と一くんと平助くん、それと左之さんね。って事は最高15日は楽しめそう。

「じゃあ…やることは千鶴ちゃんにばれないように添い寝するだけ。ばれたら即終了ね。順番はどうする?もし前の人がばれたら後の方が断然不利。巡察もやらない訳にはいかないし。希望ある?それとも平等に決める?」

「……平等にしたほうがいい…」

「了解。じゃあ巡察の都合も考えて平等に。」

正直僕は何番でもいいんだけど。すぐ夜の巡察の番なんだよね。だから巡察を第一に割り振ると…

「……最初が平助くんで…次は左之さんは被ってるから一くんかな…で一左之さん、僕、土方さんでいい?嫌って言っても巡察の都合上変えられないけど。」

さてしばらくは面白そうだなぁ。誰が一番になれるか楽しみだね。
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