思イ付キ短編小説

□雪月花
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「――……幸せになって」

 漆黒の空に、黄金色の月が浮かぶ。
 白い綿のような雪が、積雪の上に横たわる男の目尻に落ちた。彼の体に残る僅かな体温が雪を溶かし、涙のように頬を伝う。
 青年は虚ろな瞳で、夜空に輝く月を見上げていた。

 ――ああ、何て綺麗な月なんだろう。


 今宵咲く 雪月の下 紅の花
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