Breaker ―破滅の使徒―

□第四章 迷宮の探索
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 治療が済んだ琉輝は、炉愛と愛恋に隠れ家の案内をしてもらっていた。彼らに言われて気が付いたが、この真っ白な廊下と扉には所々目印が付いている。例えば曲がり角の足元辺りには薄く色が塗ってあり、ある部屋の扉は把手に小さなシールが貼ってあったり。分かりにくいが、迷わないようにちゃんと色分けされた印が付けてあった。
「やっぱ最初は食堂よね。腹が減っては戦は出来ぬと言うし」
 愛恋が琉輝の周りをクルクルと回りながら言うと、
「いやいや、まずは俺たちの研究室だろ。最高にカッケー武器とバイクを見せてやろうぜ!」
 炉愛は彼女と反対回りに回転する。
「お前ら、落ち着けよ。世話しねぇな」
 自分の目の前を行ったり来たりする炉愛と愛恋に、琉輝は鬱陶しいと言わんばかりに言った。しかし双子は止まる様子などなく、クルクルと回転し続ける。
 ……ん? 俺たちの研究室?
 琉輝は炉愛の言った言葉を頭に思い返した。
「お前らの研究室、って?」
 すると、炉愛と愛恋はグッと琉輝に顔を近付ける。
「よくぞ聞いてくれました!」
「俺たちはここで武器とかバイクとか作ってんだ!」
「車庫には行った?」
「あそこには俺たちが作った車とかバイクとか、全部置いてあるんだぜ!」
 嬉々とした表情で間髪入れずに喋る双子。その勢いに、琉輝は思わず後ろに仰け反る。
「ああ、分かったよ。分かったからちょっと離れろ!」
 あまりに興奮しているので、琉輝は何とか二人を抑えようと頭をガッチリ掴んだ。すると、ようやく二人は落ち着いて話を続けた。
「とにかく、まずは研究室だ。食堂なんか飯食う時に行きゃいいだろ」
「うーん、まあそうだけどね」
「よし、決まり! んじゃ、さっさと行こうぜ」
 結局、彼らの研究室に連れて行かれるようだ。こんな二人が本当に武器や乗り物を作っているのかは疑問だが、本当なら是非とも見てみたい。
 暫く歩いていると、琉輝は彼らがオレンジの印を追っている事に気が付いた。
「なぁ、さっきからオレンジの印ばっかだけど」
「ああ、俺たちの研究室の色だ。ホントは赤がよかったんだけどさ、食堂と被るから駄目だって」
 炉愛は不満げに言う。そこで琉輝はピンときた。なるほど、そういう事か。
 ここは各部屋毎に示す色がある。その部屋の色の印を追っていけば、確実にそこに辿り着く事が出来る。また、行きたい場所があれば、その部屋の色の印を見つければいい。
 そして、双子の研究室の色はオレンジ、食堂は赤である……これは覚えて置かないといけないな。
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