Breaker ―破滅の使徒―

□第三章 咎人の隠れ家
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 そこにいたのは、金髪に銀縁眼鏡を掛けた三十代半ばの男と、青い髪に赤い瞳を鋭く光らせた二十代前半の男。二人とも軍服を着ていない事から、帝国軍ではない事が分かる。それなら、彼らは何故ここに?
 琉輝がドアを開き銃を構えた瞬間、青髪の男がもう一人を庇うように前に飛び出した。鋭い目で睨んでくる男に、琉輝も睨み返し銃の引き金に力を込める。
 その時、
「駆馬、止めなさい」
 金髪の男が青髪の男の肩に優しく手を置いた。すると、駆馬と呼ばれた男は驚いたように金髪の男を見つめる。
「璃熙さん、しかし……」
「彼は私たちの敵ではありません。そんなに怖い顔するのは止めなさい」
 そう言われ、駆馬は後ろに下がり璃熙の横に並ぶ。
 ――敵ではない? じゃあ、こいつらは何者だ?
 琉輝は銃を構えたまま、二人を睨み続ける。
 その時、璃熙が口を開いた。
「初めまして。私は璃熙、この子は駆馬です」
 そう言って、璃熙は手を差し出す。
「よろしく、『破滅の使徒』さん」
 琉輝は璃熙の顔をじっと見つめた。柔らかな笑みを浮かべた、橙色の瞳……この男、何処かで見た事あるような気がする……。
「あんたら、誰なんだ?」
 琉輝は頭に浮かんだ疑問をそのまま男たちにぶつけた。
「私達ですか? 私達は反帝国集団の者です」
 ニッコリと笑みを浮かべる璃熙。その時、何かに気付いたように琉輝の後ろの部屋を覗き込んだ。
「奥にもう一人いますね。小さい子……女の子ですか? 寝てるみたいですね」
 ――何でそんな事っ……!
 琉輝は銃を璃熙の眼前に向けた。途端に駆馬が前に飛び出し、琉輝の銃を奪い取ろうと手を伸ばす。
「駆馬、止めなさいと言ったでしょう」
 璃熙が一瞥すると、駆馬はビクッと肩を震わせた。
「すみません……しかし……」
「彼は敵ではありません。言ったでしょう」
 駆馬は少し不服そうであったが、はい、と小さな声で返事を後ろに下がる。璃熙は申し訳なさそうに琉輝に向き直った。
「ごめんなさい。この子、ちょっと警戒心が強くて。でも、悪い子じゃないんですよ」
「何で奥にいるって分かるんだ?」
 琉輝は璃熙の言葉を無視して問いを重ねる。彼らから凛華を見る事は出来ない筈だ。それなのに、何故この男にはそれが分かる?
「それは内緒です。仲間になってくれれば、教えてあげてもいいですよ」
 すると、琉輝は驚いたように璃熙を見つめた。
「仲間? 冗談だろ。何で俺がお前らの仲間にならないといけねぇんだ?」
 馬鹿にしたような琉輝の言い方に、駆馬はピクリと片眉を釣り上げる。璃熙はそんな彼を放っては置いて話を続けた。
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