織姫
□生きゆく使命 −弐−
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余りの熱さに意識が朦朧とする。
何れ程の人を殺めたのだろう。
何度刀を振るったのだろう。
「はあっ‥ はあっ‥ はあっ」
炎が迫り、焼けるのが先か
斬られるのが先か……。
瞳の奥まで燃える様な熱さに耐え。
喉が焼ける程の熱風に含まれる少しの空気を必死で肺に送り込む。
感覚など、とうに無くなった。
片膝を付き、自分の身だけで木板を護る。
所有していた隠し武器は全て使い終え、最後の刀を振るう。
終わりの見えない数の敵。
ぼんやりと、菖子の笑顔が浮かんだ。
(最後の………)
甲高い金属音と共に敵の刀を受け止めると、石蕗の刃が飛んだ。
(………最期、……まで……。)
相手が刀を振りかざすのを見たのを最後に、己の血が目に流れ、視界は赤に染まる。
朦朧とした意識の中で、木板に覆い被さった。
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