「なまえ、この部屋に誰か男を入れたの?」 『どうして?』 「オレのじゃない男物の香水の匂いがする」 『そうかしら?別にいつもと変わらないけど』 「嘘だ」 『どうしてそう言い切るの?また超直感とやらかしら』 「そんなんじゃないよ。長年一緒にいるんだから少しの変化でも気付くし」 少しの変化でも?嘘ばっかり。 今あなたが対峙しているのは大きな変化よ。つもりつもった小さな変化の集合体。あなたはその変化を見逃してきたんでしょう。 本当は私のことなんて、何一つ理解してないくせに。適当な言葉を紡いで自分を正当化させるつもりかしら。 『そうなの…。でも別に男の人を入れたりなんかしてないわよ』 「じゃあなんで香水の匂いがするの?」 『分からないわ』 それはね、私がいつもと違う香水をまいたから。何故まいたのか分かる?分からないわよね。 あなたには私のことなんてどうでもいいんだもの。興味ないんでしょう。 けど、これで少しは焦ってくれたかしら…。 「浮気でもしてるの?」 『まさか!そんなに疑うのだったら守護者の皆さんに聞いてみたら?』 「…ごめん、疑ったりして」 あら、もう終わり?つまらない…。やっぱりあなたにとって、私なんてその程度の存在なのね。あなたが気になるのは、私が浮気をしているかどうかじゃなく、ボンゴレファミリー10代目の妻が浮気をしているかどうかでしょう? ドンボンゴレが本妻に浮気されるなんて、噂の的だものね。 『別にいいのよ』 でも、そんなにあっさり引くなんて楽しくないわ。もっと私を楽しませてよ。これまでの分まで、もっともっと。 「最近仕事が忙しくてこっちに帰って来れなかっから、いろいろ不安なんだ」 仕事、ねぇ…。嘘に嘘を重ねるあなた。でももう私は絶望なんかしない。だって私は、喜劇の幕をあげたばかり。 さぁ、今度はあなたが絶望する番よ。 思い切り笑い飛ばしてやるわ。 |