『綱吉、ここの問いなんだが、』 「お、俺も分かんない…」 『そうか…』 私と綱吉の2人で課題に取り組み始めてから約2時間が経過。20問あるうちの2問しか解けていない。1時間1問って…。 そもそも何故勉強のできない2人で取り組んでいるのかと言えば、この課題が補習を受けた人のみに出されるものだからだ。 そう、つまり補習を受けたのは私と綱吉2人だけ。 補習常連組の山本は試合前だからとはりきって勉強し今回は奇跡的に補習を免れていた。 あやつ、裏切ったな。 あと、頼みの綱であった綱吉の犬である獄寺は、花火を仕入れに出かけていないらしい。 本当に綱吉が必要としている時にいないなんて薄情な男だ。 それと綱吉の家庭教師とやらも今日はいないらしい。 なんのための家庭教師だ。 …周りの人間にケチをつけても当たり前だが問題は進まない。 むしろ無駄な時間が流れていく。 かといって真面目に問題に向き合っても一向に解ける気配はないのだが。 『なぁ綱吉。これは私らだけでは1日かけてもできないと思うんだ』 「それは、まぁ」 『そこでだ、有能な助っ人を呼ぼうと思う。というか呼んでもらおうと思う、綱吉に』 「俺?!俺の知り合いで頭の良い奴は皆今日いないよ」 『いや、いるだろう』 「?」 年齢不詳でこの町の頂点に君臨する風紀委員長が。 『雲雀恭弥を呼ぼうじゃないか』 「ひ、雲雀さん?!無理だから、咬み殺されるから。血迷っちゃダメだ!」 『でも頭はキレる奴だろう』 「いろんな意味でキレちゃうよ!」 むう。かなりナイスな人選だと思ったのだが、綱吉のお気に召さなかったらしい。 『では綱吉、誰を呼ぶ』 「もう諦めて自分達でやろう」 諦めたらそこで試合終了だ、と誰だかも言っていたように諦めてはダメなのだ。 『諦めずに助っ人探しをしようじゃないか』 「諦めずに問題解こうよ!」 価値観の違いからか綱吉と意見が食い違う。何ということだ。これでは話が進まない。 『よし、じゃんけんで決めようか』 「お願いだから真剣に取り組んで!飽きる気持ちも分かるけど頑張ろう」 飽きたのがバレていたか。流石だな。侮り難し綱吉。 『確かに私は飽きてしまった。だがそれは私だけに非があるのだろうか、否、そうではない。このような小難しく面白げのない問題をつらつらと並べた教師にも非があるのではないだろうか』 「いいからさ、屁理屈たれてないでやれ」 『…すまない』 問題に向き直る。やはり分からない。 ただ1つはっきりと分かったことがある。とても大きな発見だ。 綱吉は白ではなく黒属性である、と私は学んだ。 …綱吉こわい。 (ここから先の問題は家に帰ってから解こうと思う。だから帰らせてもらうよ) (は?) (…すまない、冗談だ。さぁ2人で頑張って解いていこうじゃないか) (あぁ、そうだね) ((綱吉こわい)) 2011.10.19〜2012.06.10 |