「おせぇぞ」 『すみません。でも2分しか遅れてな、《ズガンッ》すみません』 今弾が掠ったよ、髪の毛若干切れたよ。しかも遅れたのはしょうがない。あの後急にリボーンさんが3分以内に来いとか言うからだよ。全力で長い階段と廊下を走ったけど間に合うわけない。さっきいた場所(2階)からここ(6階)まで歩いて10分近くかかるからね。それを5分で来たんだからむしろ褒めていただきたい。 「エレベーターでなら3分以内に来れただろ」 『あたしエレベーター酔うんで乗れないんです』 「慣れろ」 んな無茶な。あのフワァって感じは何回乗っても慣れるのは無理だと思うな。 『で、そんなことより何の用事ですか』 「渡す物があってな。…ほら」 ―バスッ 『……痛いです』 「本当どんくさいな」 失礼な。誰だって突然物を投げられたらとれませんから。 「だからって顔で受け止める奴はボンゴレにはいねぇぞ」 いや、不意打ちならきっと…きっと!! 「お前マフィア止めるか?」 『あ、やめていいんですか?それならやめ《バンッ》やだなぁ冗談ですよ』 やっぱり退職はできないんだな。しようとしたら殺られる。今確認できました。確認したくなかったけどね! 「はぁ…もう戻って良いぞ」 『え、用事ってこれだけ?』 「あぁ」 それならリボーンさんがあたしの所に来てくれたらよかったのに。 「わざわざ忙しい中お返しを買ってやったんだ、有り難く思え」 あぁ、そういえば本命作り終えて余ったチョコを他の守護者やリボーンさんに渡したんだっけ。 「そうか、感謝の気持ちも何もこもってない余ったチョコだったのか」 『一応感謝の気持ちはこめました。…一応』 「チッ。もういい、さっさと本命からお返しもらってきたらどうだ」 ……。 『もう貰いました』 「良かったな」 良く…は、ないかな。 「何でだ」 『フッ…野暮ですよリボーンさん。…フられたんです』 「は?本命ってランボだろ」 『何故知って?!』 「アホ牛が一ヶ月前から今日まで浮かれてたからな」 何でランボくんが浮かれてたらあたしがランボくんを好きってのが分かるのかな。もしかしてランボくん、リボーンさんにあたしが告白したこと言ったのか。言っちゃったのか。 「…中身見てねぇな」 『へ?だってリボーンさんからは今貰ったばかりで』 「話の流れからして違ぇだろ。オレのじゃなくてアホ牛からのだ」 『開けてませんけど』 というか開けれませんけど。何か切なくなって開けれないから開けずにしまっとこうと思ってですね…。 「…食い物だったら腐るぞ」 『…じゃあリボーンさんが開けてください』 「オレが開けたら意味ないぞ」 『うぅ、お願いしますよ』 「甘ったれんな」 『リボーンさんの鬼畜。人で無し』 「ほぅ…」 『嘘です嘘です』 「…ったく、ちゃんと包みを開けてけじめつけたらいいじゃねぇか」 『けじめ、ですか…』 「いつまでも目を背けてたらそっから先進めねぇぞ」 『わ、かりました。その代わりリボーンさんそこ居てくださいね』 「分かったから早くしろ。ウザいのが泣いちまうからな」 『ウザいって酷い!ふん、意地でも泣きませんから!!』 「(名前のことじゃねぇが)」 ふぅ…。泣くなあたし。たかだか包みを開けるだけじゃないか。せっかく貰ったプレゼントだよ。何が入ってるのかドキドキするね! 『名前、いっきまーす!!』 ガサガサと包みを開けていく。すると小さな箱が入っていた。コレ、なんつーか。…うん。アレっぽい。 『リボーンさん…』 「フッ、これで貸し1だぞ」 『えー…』 リボーンさんって心狭いな。てゆーか絶対中身知ってましたよね。それなら教えてくれたら良かったのに。 「…お前空気読んだほうがいいぞ」 『常に読めてます』 「…そうか」 『その冷たい視線やめてください、泣きそうです』 「はぁ…オレの前では泣くな。さっさと行ってこい」 『…はい』 リボーンさんって心は少し狭いけど…。すごく良い人だな、うん。 リボーンさんの部屋を出て箱を片手に一直線に向かう。きっとまだいろんな所をまわってるだろうから、探し回るよりも部屋で待っとこう。 |