こねた

□雲雀
1ページ/1ページ


目に入るもの全部
赤 紅 あか

ついさっきまでは明るい陽が私を、辺りを照らしてくれていたのに。
いつの間にこんな真っ赤に染まってしまったんだろうか。

…違う。私は知ってる。

それでも分からないフリをして目の前の現実から目をそらして。

そうでもしないと自分を守れない。

人間はモロい。
現実を受け止めた瞬間、負の感情に押しつぶされてしまう。
惨めって分かってても自分をどうにか正当化させようと必死に言葉を並べてしまうもの。

今の私も
そうやって逃げようとしてる。

認めるのが怖いから。



「いい加減認めなよ」

「いえ、決して私は守護者の雲雀さんを差し置いて昼寝をしていたのではなく、ただ少しばかり陽の気にあたりながらそっと目をふせ、その後に待ち受けるミッションのシミュレーションを」

「していると、夕方までうっかり寝てしまい、肝心のミッションである会議にも参加できなかったってことかい」

「この世は諸行無常。全てのものは常に移り変わりゆく。残酷ね」

「さくら、今月の給料7割カットね」

「ごめんなさい、寝てました。あ、でもシミュレーションはばっちりなので次の会議ではあの六道さんを一泡ふかせ、って聞いてください、ごめんなさい、給料減らさないでえぇぇぇ」

2011.05.18
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ