好きとか嫌いとかバカみたい。 1人の男に言われた好き。1人の女に言われた嫌い。たった1人、されど1人。一つを得て一つを失う。めんどくさい。それならいっそ最初から何もなければ、関わらなければ楽だった。 同じクラスの沢田くんに好きと言われたあの日。 友達の京子に嫌いと言われたあの日。 私は沢田くんからの愛を得た代わりに京子という友達を失った。 たった1人の愛を受けたことで。 失ったのはたった1人。 されど1人。 その1人に嫌われた次の日。みんな失った。皆のアイドルである1人の人物に嫌われた私は皆にも嫌われる。 そうなるとたった1人の愛さえも疎ましく思って。 どうせあなたもすぐ私を嫌いになるんだから。ならいらない。期間限定の愛なんてくだらない。そんなものがあるからいつか傷つく。傷つく前に全て捨ててしまおう。 だからね。好きなんて、嫌いなんて、くだらないの。人の心なんてすぐ変わってしまうのよ。 信じられるのは自分1人でしょ。 そうなるとね、周りの人間なんていらないんじゃない?目障りだと思うの。 それなら消してしまえばいい。 『それが私の意見。納得してくれたでしょ』 ねぇ、沢田くん。ねぇ、京子。 あなたたちが愛し合ってることだってくだらないのよ。 沢田くん、私はあなたが好きじゃない。 京子、私はあなたが嫌いじゃない。 『ただただ目障りなだけよ。そういうわけで、さようなら』 必死に言葉を並べても無駄よ。 信じられるのは私だけだから。 2011.12.23 |