復活

□Merry Christmas
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『あ、雪』

今日雪が降るなんて、こりゃ沢山の女の子達が喜ぶな。ロマンチックだ何だときゃっきゃするだろう。可愛いよ、うん。いやまぁそういうあたしも女なんだけどね。でもあたしは別に雪なんて求めてない。寒いの嫌いだし。ちょっとそこらへんのリア充達爆発してくれないかな。そしたらあたしも暖かくなれるのに。おっと失言。
こんなことを言ってるけど去年のあたしなら周りと同じようにきゃっきゃ騒いでただろう。寒くても温めてくれる人がいたから。今年は1人。いやん孤独。

『…さむ』

あーあ。こんな日に1人で外ふらついて、何か寂しい子じゃないあたし。店の明かりや、赤や緑の電球がいい感じに外を照らして雪も綺麗で虚しさ倍増。くっそ、卵と牛乳の買い置きちゃんとしとけばよかったな。そしたら外に出ることもなくコタツでまったりできたのに。
しかもお店では今日の日のためにケーキやらオードブルやらを全面的に売り出してる。そういうのを見たら買わないわけにはいかないじゃない。ついついケーキ買っちゃったよ。しかも1人で過ごすのがバレたくなくて見栄はってホールケーキ。一切れずつ種類が違うやつだから飽きはしないだろうけど…。1人で食べきれるかな。

『冷凍したらいけるか…』

冷凍庫入るかな。スペースなかった気がするな。てかさっきからあたし1人言多くない?はたから見たらあたしただの変な人だ。うわ切ね。それもこれもあいつのせいだ。まったくいつになったらあたしの横に帰ってくるんだ。あたしのここ、あいてますよ。…寂しいだろ。

『あーさむ。手冷た』

手袋してくれば良かったな。風も強くて手が冷えることくらい優に想像出来たのに何で手袋してこなかったんだあたし。いや理由は分かってるよ。手袋なんてなくても今まではあったかかったもんね。だから今家に手袋ないんだよね。これもあいつのせいだな。サンタさん、あたしに暖をちょうだい、暖を。

荷物を持ってないほうの手をポッケに突っ込みマフラーに顔をうずめて少しでも寒さを和らげようとする。

もうすぐ家に着く。後少しの辛抱だ。家に帰ったらファンヒーターつけてコタツもつけて。あ、夜ご飯何にしよう。オードブルも買っとけば良かったな。いやでも重いし多いし。それこそ余って大変なことになるか。まぁ余ったとしても明日食べればいいんだけど。


そうこう考えているうちに家についた。寒い、早く入ろ。…あれ、鍵が開いてる。え、何で?あたし出る時閉め忘れたっけ。いや、そんなはずはない。ちゃんと閉めたことを確認した。まさかまさか、空き巣?えー、家盗むもんないよ。通帳とはんこ見つけられたらアウトだけど。それらはさりげないところに隠してあるし多分大丈夫。問題はどうやって捕まえるか。
相手が刃物や銃器を所持しているのならあたしは下手に攻撃できない。でもそうでないならいける、気がする。

根拠のない自信に背を押されながら、ソッと玄関を開け家に入る。……。

『…!』

何で何で何で。おかしい。だってそんなはずはない。

急いでリビングに向かう。その際に足音で相手に帰ってきたことが伝わるかもしれない。でももうそんなこと関係ない。

玄関を開けた時とは対照的にバタンと大きな音をたてリビングの扉を開ける。

「おかえり、なまえ」

部屋にいたのは空き巣なんかじゃない。そのことには玄関にぬいであった靴を見て気付いた。でも、信じられなくて。

『おかえりじゃないよ。何でここにいるのさ』
「だってここはオレとなまえの家だろ」
『そういう意味じゃないわボケ!ツナ、あと一週間は帰って来れないって、』
「リボーンに無理言って帰ってきたんだ。でも仕事は全部片付けてきたんだよ」

すごいだろ、ってツナが笑いかけてくるから何だかいろいろ込み上げてきて…。

『何で早く言ってくれなかったの。カップルが賑わう中あたし1人で出かけたんだから』
「ごめん。どうせならなまえを驚かせようと思ってさ」

驚いただろ、って言いながらツナは指であたしの目から零れる涙を拭う。驚いたよバカ。びっくりしすぎてケーキ持ってること忘れて走ったわ。リビングまでの短い距離といえどケーキはゆれて形が崩れているだろう。ツナのせいだよ。

「ごめんな。寂しい思いさせて」
『本当だよ。…でも、』

1人で過ごすと思ってたクリスマス。寂しかった。うかれる世間にうんざりしてたけど、ツナが帰ってきてくれただけで気分は一転。あたしもうかれる側になったのだ。

『嬉しさと驚きで寂しさなんてふっとんだわ』
「そっか。それなら良かった」

にこっと笑うツナに抱きしめられる。

『あったかい』
「ヒーターつけたばかりだよ?」
『そうじゃないよ。ムード壊すなよ』
「んー?」
『ツナがあったかいって言ってんの』

そういえばあたしさっきサンタさんに暖をくれって言ったな。すげーなサンタさん。暖であたしの欲しいもの分かるなんて。うーん、サンタさんも粋なことしてくれるね。

『ありがと』
「え…?」
『よし、じゃあクリスマスの準備しよっか』
「あ、うん」

これまでのクリスマスもツナと過ごして思い出に残る大切なものだった。だけど今年のクリスマスは今までよりも思い出深いクリスマスになったよ。

ありがとサンタさん。


大好きだよツナ。


Merry Christmas


(メリークリスマス、ツナ)
(メリークリスマス。はい、これプレゼント)
(え、ありがとう。あたし突然だったからプレゼント用意できてない。明日買いにいくね)
(大丈夫。オレの欲しいプレゼントはなまえだから)
(何こっ恥ずかしいこと言ってんだよ)
(顔真っ赤ななまえ可愛い。あ、ラッピングはいらないよ。むしろ最初から何もつけなくていいくらいだから)
(ちょ、感動のクリスマスの雰囲気を壊すなよ馬鹿野郎)


―――
皆さまメリークリスマスイブです(^^)/
なんとかクリスマスに間に合いましたよ。ただツナくんが最後の最後で変態ちっくになってしまうという予定外の動きを…。(゚ω゚)あれー?←
きっと夜中に仕上げたからだなうん。

では、皆さまもステキなクリスマスをお過ごしください^^*

2011.12.24



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