復活

□Not Mafia!
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車にはねられて呆気なく死んでしまったあたしの次の人生は某漫画の主人公の姉ポジションでした。
そんな展開求めてない。

あたしの前世は特に変わったことはないけど、小さな幸せがたくさん溢れてるステキな人生だったと自負している。そう、特に変わったことのない一般的に平凡と呼ばれる人生。それに不満もなかったしむしろ満足していた。だから突然こんな危険だらけ(になるであろう)世界に生み落とされても困る。更に9代目だっけ?あの温厚そうなおじいちゃんに、弟と一緒にボンゴレを統べる存在になるかもしれんとか言われても困る。この時あたし4歳、弟3歳。向こうはあたしが理解してるとは思ってなかっただろうけど。小さくても中身は大人なあたしはしっかり理解してその上で決意しました。そんなフラグはポッキリ折ってやるってね。
あたしはいろいろ頑張った。前世の記憶も使うというチート技で難関中学を楽々受かって無事実家から離れた場所で一人暮らし。奈々さんは女子中学生の一人暮らしを心配してたけど、そこはあたしの普段の行い、つまりしっかりしたお姉ちゃんを演じることで大丈夫だと安心させてOKをもらえた。今では並盛でも黒曜でもない町のマンションで、あたしはストーリーに関わることなく平穏に暮らしている。家?帰ってないよ。奈々さんには定期的に電話してるけど、忙しいからってことで一度も帰ってない。悪いとは思うが、ここで帰ってしまうと今までのあたしの努力は無駄になるからね。フラグは全てへし折ってやりました。やったね!
今は数か月後に控えた高校受験に向けてコツコツと頑張っている。流石に難関高校はチート技をもってしても難しいから。この高校は県外にあり、あたしの夢を叶える一歩となる学校だから頑張りたい。実はちゃっかり第二の人生でやりたいこと見つけて夢に向かって爆走してます。頑張って医者になるんだ。
そう、この時のあたしは精神的にとても安定した生活をしていた。だから油断してたんだ。回避できたと思っていたフラグは、未だにしっかりたち続けていたことを知らずに。

ピンポーン。はーい。何も考えず扉を開けたら家光が立っていた。バタン。何故だ、何故やつがあたしの家へきた。何やら扉の向こうで家光はあたしの名前を呼び大切な話があると言っている。大切な話ってどうせそれマのつく危ない職業の話だろ。勧誘お断り。
ちょっと誰だか分かんないっすねずっとそこにいるつもりなら警察呼びますから。それだけ言ってあたしは家の奥へ戻った。
さてさて今のことは忘れて勉強すっか。

「お、ちゃんと綺麗にしてるんだな」

▽家光が 現われた

どうやって入ったお前えええ!扉壊してないだろうな。まじやめて帰って。

「実はな、合鍵があるんだ。父ちゃん悲しかったぞー。帰ったら愛娘がいないんだもんな」

この変態。ストーカー。合鍵なんてチート技使いやがって。チート技使っていいのはあたしだけだぞ畜生。まじで帰ってくれないかな。本当切実に。あたしの将来の夢が崩れていく気がするよ。怖い!

「急な話なんだが、なまえ、お前にはツナと一緒に時期ボンゴレボスとして戦ってもらう。詳しいことは家に帰ってから話すが」

ああああ!ガラガラと音をたてて崩れていくよあたしの医者への夢が!仮にも親という存在に壊された!あたしの頑張りはなんだったの!ボスなんて普通一人で事足りるでしょ!

「なまえ、ツナのサポート頼むぞ」

いやああああ、何その目!何でそんな期待に満ちた目で見てくるの!やめてよあたしは異分子なんだって!あたしなんかに頼むなんてお門違い!一般人巻き込むなんてどうかしてるわ!

「そうだ、暫くは家で過ごしてもらうからな。また後で迎えにくる」

バタン。こうなったら迎えが来る前に逃げよう。友達の家だとバレるかもしれない。偽名使ってホテルがいいかな。よし、カプセルホテル行こう。今までの仕送り、ちゃんと貯金しといて良かった。奈々さんありがとう。あたしは断固としてストーリーに関わることを拒否します。
今の時期にどんな戦いがあったのかなんてとうの昔に忘れてしまったけど、あたしがいなくても漫画では何とかなってたんだから大丈夫でしょ。また戦いが終わった頃に帰ります。あでゅー。
ガチャリ。

「なまえ殿、もう準備ができたのですか?」

待ち伏せなんて卑怯だ!名前は覚えてないけどお前あれだろ、家光の子分的なあれだろ!くっそ、強攻突破するしかない。
あたしは家光の子分の横を走り抜けエレベーターへ。エレベーターは運よくすぐにきて、やつに追いつかれる前に乗った。追いつかれるも何も追いかけてこなかった気がする。気のせいか。あたしが必死でよく見てないだけだよね、うん。
チーン。二重の意味で鳴った音。一つはエレベーターが一階へついたことを知らせる音。もう一つはエレベーターの前で待ち伏せしていた家光によりあたしの逃亡劇失敗のお知らせの音。お前ら待ち伏せなんてずりぃよ!

「早かったな。やっぱりなんだかんだ言いつつも家に帰りたかったのか。暫く帰ってなかったんだろ?奈々も喜ぶぞぉ。それじゃ、行くか。バジルも行こう」
「はい!」

お前いつからそこにいたし。
あたしは二人に挟まれ車に乗った。やけにニヤニヤしてる家光と、あたしの生活をいろいろ聞いてくるバジルとやらに苛々が募る。絶対家に帰っても話聞いてやんない。ずっと奈々さんの側にいる。フラグ回避まだ諦めたわけじゃないんだからな。あたしは絶対医者になってやる!


Not Mafia!
(フラグなんてボッキボッキにしてやんよ!)


(あらなまえちゃん!おかえりなさい)
(ただいま)
(ね、姉ちゃん!?)
(ツナのばかやろう。この姉不幸者。嘘だよツナ悪くないよ。仕方ないことなんだよね。ばかやろう)
(姉ちゃんが反抗期だー!)
(母さん、あたし絶対将来は医者になるね。そのために勉強も頑張ってるの。だから応援して)
(ふふ、もちろんよ)
(と、いうことだから父さん。さて、受験も控えてるし勉強しよっと)


―――
家光さんの口調が難しい。

2012.07.10


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