復活

□拝啓
1ページ/1ページ


最初は遠くで見てるだけで満足だったの。あなたが友達と笑いあってる姿や、難しい問題を解く時にペンを頬に当てる仕草とか。それをこっそり見てるだけで良かったの。

でもいつしか遠くで見てるだけじゃ足りなくなって。もっと近くで見たい。あたしがあなたを見てることに気付いてほしい。そう思うようになった。だから友達に協力してもらってあなたと距離を縮めた。ただのクラスメートから友達に。もうそれだけであたしは天にも昇る気持ちになれた。

だけどもまたあたしはそれ以上を求めた。もっと近くに寄り添いたい。あなたの大切な存在になりたい。特別を手にしたい。けどこの願いは叶わなかった。思いを告げたあたしにあなたは困ったような顔でごめんね、ありがとう。って。

そこで諦めることができたら良かったのに。

あなたが彼女がいるんだと告げた瞬間、心の中に黒くドロリとしたものが流れ込んできた。

諦めるなんてできない。彼女と別れてほしい。あたしを見てほしい。あたしだけを愛してほしい。

どんどん我侭になるあたし。そんな自分が怖くなる。あなたを欲して汚い感情が渦巻く自分が嫌なの。

いつかあなたの彼女を殺しそうで。
いつかあなたでさえも殺しそうで。

嫉妬を孕んだ醜いあたし。こんなあたしを愛してはくれないでしょう。
そうすると嫉妬はどんどん大きくなって、いつかあたしを丸ごと飲み込むのだろう。

そうなってしまう前に、あたしは自分でケリをつけるわ。

たくさん我侭を言ってごめんなさい。

でも最後に、本当に最期に、もう一つだけ我侭を言わせて。

あなたにあたしという存在を忘れられないように呪いをかけます。

あたしはあなたのことを愛し続けます。来世でも。ずっとずっと。

あたしは一足先に来世へと足を踏み出します。

お元気で。


拝啓 愛しい貴方


(ポストに手紙を入れる)
(カタンと響いた音を耳にし足を運ぶ)
(向かう先は学校の屋上)
(あなたが手紙を読む頃にはもう)
(ちゃんと呪いはかかっているでしょう)


―――
何この子重い←


2012.07.18



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ