最初は遠くで見てるだけで満足だったの。あなたが友達と笑いあってる姿や、難しい問題を解く時にペンを頬に当てる仕草とか。それをこっそり見てるだけで良かったの。 でもいつしか遠くで見てるだけじゃ足りなくなって。もっと近くで見たい。あたしがあなたを見てることに気付いてほしい。そう思うようになった。だから友達に協力してもらってあなたと距離を縮めた。ただのクラスメートから友達に。もうそれだけであたしは天にも昇る気持ちになれた。 だけどもまたあたしはそれ以上を求めた。もっと近くに寄り添いたい。あなたの大切な存在になりたい。特別を手にしたい。けどこの願いは叶わなかった。思いを告げたあたしにあなたは困ったような顔でごめんね、ありがとう。って。 そこで諦めることができたら良かったのに。 あなたが彼女がいるんだと告げた瞬間、心の中に黒くドロリとしたものが流れ込んできた。 諦めるなんてできない。彼女と別れてほしい。あたしを見てほしい。あたしだけを愛してほしい。 どんどん我侭になるあたし。そんな自分が怖くなる。あなたを欲して汚い感情が渦巻く自分が嫌なの。 いつかあなたの彼女を殺しそうで。 いつかあなたでさえも殺しそうで。 嫉妬を孕んだ醜いあたし。こんなあたしを愛してはくれないでしょう。 そうすると嫉妬はどんどん大きくなって、いつかあたしを丸ごと飲み込むのだろう。 そうなってしまう前に、あたしは自分でケリをつけるわ。 たくさん我侭を言ってごめんなさい。 でも最後に、本当に最期に、もう一つだけ我侭を言わせて。 あなたにあたしという存在を忘れられないように呪いをかけます。 あたしはあなたのことを愛し続けます。来世でも。ずっとずっと。 あたしは一足先に来世へと足を踏み出します。 お元気で。 拝啓 愛しい貴方 (ポストに手紙を入れる) (カタンと響いた音を耳にし足を運ぶ) (向かう先は学校の屋上) (あなたが手紙を読む頃にはもう) (ちゃんと呪いはかかっているでしょう) ――― 何この子重い← 2012.07.18 |