復活

□本日、厄日なり
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フェンスに近寄り下を見下ろすと、…なっ!?

『うわあああ、幽霊じゃんよ!成仏、成仏してえええ!』

沢田くんが宙に浮いてる!呪いにきたのかこいつ!まじ怖い。南無阿弥陀仏!なんだっけ、幽霊払うの。りんぴょうとーしゃ、えーっと、なんだっけえええ!

「みょうじ、勝手にオレを殺すな」
『だって飛んでんじゃん、死んでんじゃん。霊体だろお前!』
「それよりみょうじ、付き合うって言ったな」
『言った言った言いました!だから成仏してお願い、怨まんとって!』
「だから生きてるって」

沢田くんはフェンスを乗り越え私の目の前へ着地した。やっべ、殺られる!

「みょうじさん、落ち着いて」
『変身解除!?死んでんのに!』
「何度も言うけど、オレ死んでないから」
『だって、飛び下りたじゃんよ』
「飛び下りて、飛んだんだ」
『ごめん、わけ分かんない。お前人間じゃないだろ』
「そんなことより、みょうじさん言ったね」

そんなことよりって。最後まで説明しろよ気になる。結局のところコイツは人間じゃないってことでオーケー?あ、でも変身してたから飛べるのか。プリ●ュアみたいなもんか。

「約束はちゃんと守ってもらうよ」
『何の。え?』
「付き合ってくれるんだよね?」
『いやいや、詐欺だ!』

だってプリ●ュアのノリで飛べたんだろ!私は沢田くんが死んじゃうと思って言葉を繕ったんであって!とにもかくにも私はハメられたんだ。

「自分の言った言葉には責任持った方がいいよ」
『うるさい』
「それと、ちゃんとさっきの言葉、録音させてもらったから」
『え?え?』
「何なら校内放送で流してもいいけど」
『君は何と言うか悪魔だな。とりあえず立派な詐欺師になれると思うよ良かったね』
「うん。ありがとう」
『あはは、褒めてねぇよ』

なんだコイツ、まじうぜぇ。詐欺に失敗して捕まってしまえ。

「で、この録音テープを校内放送で流されるのと、オレと付き合うの。どっちがいい?」
『それって二択あるようで実は一択しか選べるのないぞ、おい』
「はは、そんなことないよ。さあ、どっち選ぶの?」

どっち選ぶか分かってるくせに。ニヤニヤしやがって感じ悪いな沢田くん。

『……付き合いますよ付き合いますー。これで満足か』
「わっ、本当?嬉しいよ。これからよろしくね。よし、じゃあ帰ろっか」

やっと帰れる。帰れる代わりに大切なものを失った気がするけど。とりあえず帰ったらツイッターで今日の出来事を呟いて慰めてもらおう。呟くっていうより、ぼやくって感じだが。できれば解決策も一緒に考えてもらおう。脱恋人を目指して。いやまあ恋人になったつもりはないけどね。あははっ。
……しっかり繋がれた右手が痛いなう。


本日、厄日なり


(あ。明日の朝、迎えに来るからちゃんと待っててね)
(来んな。朝くらいゆっくりさせてよ)
(オレがわざわざ迎えに来るって言ってるんだよ)
(わざわざとか思ってんなら来なくていいわ。迷惑)
(そんなにこのテープ流してほしいんだ。みょうじさんって案外マゾなんだね)
(是非迎えに来てくださいお待ちしておりますこのやろう)
(あはは、始めから素直にしてればいいのに)
((生まれて初めて殺意芽生えた))

―――
〈この胸の高鳴りを俺は知らない〉の夢主を女の子Verで書こうと思ったらこうなった。何だか長いね。

2012.10.22


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