復活

□×× in 保健室
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学校に登校して一番に必ず向かう場所がある。そこはあたしの憩いの場。学校で過ごす大半の時間をそこで過ごしていると言っても過言ではない。というか実際そうなのだ。

『失礼しまーす』

扉を開けると鼻を掠める薬品の匂い。あの、消毒液の独特の匂いだ。
もうここがどこなのかお分かりだろう。そう、保健室である。あたしはこの保健室の窓際、つまり入口から一番遠いベッドで一日を過ごすのだ。
授業?出席日数?ああ、言い忘れていたがあたしは並盛最強の雲雀恭弥率いる風紀委員に所属しているのだ。だから授業にでなくても問題はない。もちろん勉強はついていける。ただし副教科の場合は最低限出るようにはしているが。さすがに実技で大幅に点をつけられるものは出ておきたいんだ。それなら他の教科も授業にも出て授業態度の点をあげろよという話だが。まぁその辺は風紀委員の名のおかげで点はとれているはずだ。あとはあたしが筆記テストで頑張れば完璧。
だから今日も今日とて保健室でサボタージュ。

保健室へ入り、まっすぐいつものベッドへ向かう。…ん?カーテンが閉まっているだと?何故。昨日、カーテンは開けて帰った気がするんだが。先客か?でもこの時間は風紀委員しかいないはず。朝練に励む生徒や、教師ですらまだ来ていない時間帯だ。風紀委員はあたしの定位置を知っているため違うだろう。
あ、因みに学校の鍵や保健室の鍵はいつも草壁さんが開けてくれる。いつも一番に学校へ来て鍵を開けてくれる。保健室の鍵については、あたしが保健室を憩いの場にしているのを知ってから毎朝あたしが来る時間を見計らって開けてくれるのだ。まじ草壁さん良い人。
で、話は戻って。この時間に保健室を使う人物に心当たりはない。たまたまカーテンがしまっているだけか。
そう解釈をしてシャッと開けたカーテン。

「うわっ!」
『え?あ、え?』

先客が居た、だと!何故だ。何故君はこんなにも早く登校してきているのだ。そして何故保健室で、よりによってあたしのベッドを使用しているのだ。カーテンを開けた瞬間に君が咄嗟に被ったその布団も、あたしが使うものなんだからな!その布団だけはあたしが干してんだぞ!

『すまないがそれはあたしのベッドだ。どけ』
「すまないとか言っておきながらどけって…!それに、い、嫌です!」
『…もう一度言う。それはあたしのベッドだ。どけ』
「他にもベッドはあるじゃないですか!」

なんだと?それなら君がどけて他のベッドに移ればよかろう!ムカつくなこいつ、ムカつくな。あたしに命令していいのは委員長と副委員長と親だけだからな!あ、わりと多い。

『どうしてもどかないのか』
「あ、はい…」
『そうか。なら実力行使で』
「え、ちょ、やめ!…うわ!」
『え…』

どうしてもどかない少年に対し、あたしは実力行使でどかすことにした。そのために布団をはぎとったのだが…。

『君は、たまっていたのか』
「なっ!違います!」
『もういい。このベッドは諦める。使いたくないし。まだ皆が登校してくるまで時間があるから存分にぬいてくれ。すまなかったな』
「だから、」

―シャッ

少年の言葉を遮るようにカーテンを閉める。まさか少年がわざわざ早く登校してきてまでそんなことをするとは。男は大変なのだな。あたしは女だから気持ちは全く分からないが。あぁ布団はぎとって悪かったな。いやでもまさかパンツ一枚で入っているとは夢にも思わないだろう。仕方ない、あたしに非はない。だが何故か悪い事をした気になる。

―シャッ

「勘違いです!俺はそんな、ぬ、ぬいたりなんて…」
『…大丈夫だ。このことは他言したりしないから安心してくれ。じゃあな、少年。…明日からは家でしてくるんだよ』

でないとあたしが保健室に来れないから。あ、でもそこのベッドは使わない。今度からは入口に一番近いベッド使うから。

「まっ、話を、」

―バタン

少年の言葉を遮り戸を閉める。

さて、今日は久しぶりに授業にでも出ようかな。


×× in 保健室


(ツナ、お前まだ制服着てなかったのか)
(リボーン!お前のせいで女の子に変な勘違いされただろ!)
(オレのせいにするな。因みにさっきのは風紀委員の一人だぞ。勘違いされただけですんで良かったな)
(良くないよ!)


2012.10.22



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