お前にはボンゴレの血が通ってるとかボス候補だとか言われても、だからどうしたっていう。血なんて知らんよ。ひいひいひいおじいちゃん？ん？ひいひいひいひいおじいちゃんだっけ？分からん。そんな遠いおじいちゃんのことを持ち出されても困るわ。曾祖父だって知らないもの。 強制送還されたあたしは思春期の娘らしく、父、家光と距離を置いている。本当は思春期うんぬんは関係ないけどね。さらに、受験勉強で手いっぱいなあたしは弟たちのマフィアごっこにつきあってる暇はないの、とマフィア関係者たちをつっぱねてきた。ごっこ遊びじゃないことは知ってるけど。しかもそのことはマフィア関係者にもちろんバレてます。でもあたしが奈々さんの目の届くところに常にいるため、マフィア関係者たちも迂闊に勧誘できないようだ。因みに強制送還されてから学校へは行っていない。家光があたしに無断で特別休暇の届け出したそうなのだ。いったいどういう理由をこじつけて届けを出した。 そんなわけで学校に行けないあたしはおとなしく家で勉強。リビングでしてるからランボくんうるさいの。何故リビングかというと、こちらへ帰ってきたら何故かあたしの部屋だった場所がビアンキさんに占拠されていたため、リビングでしか勉強ができないのだ。まあそのおかげで奈々さんの側にいれるんだけどね。あと寝室は奈々さんの部屋を借りて一緒に寝てるよ。ビアンキさんと一緒に部屋を使うよう勧められたが、出会って間もない人と寝るのは恥ずかしいからと丁重に断っておいた。もし一緒の部屋になったが最後、奈々さんがいないのをいいことにマフィアの世界に引きずり込まれるだろう。そんなことになってたまるか。 ただ、そういった奈々さん以外とはあまり関わらない生活で、非常にギスギスした空気になり、自分の家なのに落ち着けない。なんだこの空気、苦しい、挫ける。早く一人暮らしに戻りたいな。切実に。 そんな精神的な疲れからついうっかりうたた寝してしまった自分が恨めしい。あれだけ注意を払って過ごしてきたのに、ここにきて何やってんだあたしは。うたた寝から起きたら目の前にリボーンくんが居たという恐怖。奈々さんどこ行った。 「起きたか」 ええ、ばっちり起きました。だけどもう一度寝るつもりだよ。グッナイ、おやすみ。 「なまえ、お前に話がある」 ですよねー。そうだと思ったよ。あたしがもう一度寝ようと俯せた瞬間降ってきた言葉。起きるのを待ち伏せしてたところからして用事があったのは分かってました。別にリボーンくんなんて無視して寝てもよかったんだけどさ。何て言えばいいんだろう。圧迫感というか威圧感というか。そういったものを感じたため二度寝できなかった。くそう。リボーンくん怖い。そしてもう一度言うが奈々さんどこ行った。 「ママンなら買い物に出かけたぞ」 ああ、あたしが寝てる間に出かけちゃったのね奈々さん。いつもはプチ親孝行と称して買い物にも回覧板届けるのにもついて行くのだけど。きっとあたしが寝てたから起こすの遠慮して一人で出かけたんだね。その優しさが辛いです奈々さん。 「家光にも言われただろうが、なまえ、お前にはツナと一緒にボスとして戦ってもらう」 嫌だ嫌です。あたしの夢は医者なの、守る側なんだよ。傷つける側じゃない。それに本物のマフィア相手に戦ってあたしが生きていられるとでも？今まで戦いとは無縁な生活をしてきたのだから本物のマフィアと戦ったらあたしはまた死ななければならなくなる。戦地に赴くなら戦闘員としてじゃなく救護係りがいいな。あたしはそっちが本職。…になる予定。 「いろいろ言いたいことはあるだろうが、時間がねぇ。ここ３日間サボってた分、取り戻さねぇといけねぇから、すぐ訓練始めるぞ。オレがみっちり鍛えてやる。さっさと出かける準備してこい」 無茶言うな。今何時か分かってる？４時、つまり夕方。これから暗くなっていくばっかりだよ。訓練とか無理です。あたし、戦闘初心者ですよ。どうせやるなら室内で腹筋とかから始めようよ。ていうかできれば何もやりたくない。勉強させて。あたし受験生！ 「早くしねぇと撃つぞ」 人に銃を向けちゃいけません。ていうか銃の所持は認められてません。 そんなことをうだうだ考えながらも準備を始める。だって銃で撃たれてパンツ一丁になるのはお断りだ。実際に撃たれた人を見たことはないが、20年くらい前の記憶を手繰り寄せるとリボーンくんに撃たれたツナはたしかパンツ一丁になってた気がする。あれは衝撃的だった。もうほとんど原作なんて覚えてないけど。 「準備できたな。よし、行くぞ」 あたしは恐怖から仕方なくリボーンくんに着いて行く。だってパンツ一丁で町を駆け巡るとか嫌すぎる。 どこに連れて行かれるのかも分からない。あたしはとりあえず少しでも現実逃避しようと、鞄から単語帳を出して勉強するのだった。 Not safe！ (フラグ回収し始めてる気がする、怖い) (今回の敵はヴァリアーって奴等だ) (……バリアー？) (ヴァリアーだ) (だからバリアーでしょ) (…まあいい) ((バリアーって何か聞いたことあるけどどんな連中だったっけ。えっと、果物っぽい奴等だったかな。違うっけ？ダメだ覚えてないや)) ――― まさか続きを書くなんて思ってもなかったよ。 しかも書き方が前の時となんか違うっていうね。 2012.11.29 |