「施しだ。受け取れえええ!」 「おわっ!危ねぇだろ!」 「おいバカ。避けるなよ」 「避けるなっててめぇ殺す気か!」 オレはいつも通り10代目をお迎えするために朝早くに家を出た。普段この時間はあまり人がいないためとても静かなのだが。今日は騒がしい。いつもの空間にたった1人増えただけだというのに。 同じクラスのなまえが突然オレの目の前に現れ、何かを投げつけてきた。それも野球バカ並のスピードで。命の危機を感じて咄嗟に避けたら、避けるなと怒られるし。いや、あんな速さで物がとんできたら誰でも避ける飛び退く。10代目やリボーンさんなら簡単にキャッチできるかもしれないが。くっ、オレはまだ修行がたりねぇのか。それにしてもこんな豪速球止めれるなんて流石っす10代目!!リスペクトがやまない。 「何ぼーっとしてんの。ほら、もういっちょ行くよー」 「は、うわっ!」 また何かを投げるなまえ。それをまた避けるオレ。ああ、情けねぇぜ!こんなんじゃ10代目の右腕なんて務まらねぇ。 ていうか待て、その前になんでこいつはオレに向かって投げてくるんだ。殺す気か。いや、待てよ、オレは10代目の右腕としてためされてんのか? 『また避けたな、このアホ寺!』 「なっ、アホじゃねぇよ!それに次は必ずとる!」 『絶対とれよ!もう後少ししか手持ちがないんだから』 あと少しってどのくらいだ。 それに手持ちって…。 『そいやっ』 「…くっ」 ダメだ。勢いが強すぎて受け取れきれねぇ。どうにかして衝撃を受け流せないものか。 一度ダイナマイトで吹っ飛ばすか?いや、そうした方がスピードあがるな、ダメだ。 『とれよ。…はあ、ほらいくよ』 「よし。……。…ちっ」 やっぱりダメだ。もう覚悟して避けずに真正面から受け取るか…。そうだ、もし実戦で10代目が狙われた時には右腕のオレが前に出て守らないといけねぇんだ。よし、オレならできる。 『…いっくよー』 「おし、こい!」 ―ボスッッ 「ぐっ…」 いってえ…。でも明らかに初めよりは速度が落ちている。手加減されたみたいで悔しいぜ…。 …ところで何をそんな勢いで投げてきたんだ。 『やっととれたか』 「なあ、これって…」 『施しだって言ったでしょ』 「施し…?」 『それじゃああたしは先に学校行くから』 「え、あ、ああ」 『じゃあねー。お誕生日おめっとー』 「おう…。ん?た、んじょうび?…まさか」 オレは先程なまえに投げられた袋をあける。中には飴玉、ガム、チロルチョコなどの菓子が入っていた。 それと一枚の手紙。 《キャッチできなかった包みもあげるよ。口寂しいならそれらを食べて少しでも煙草の本数減らしやがれ。でないとあんたと一緒に居れないでしょ。》 そういえばなまえは煙草の煙が嫌いだったな。 …一緒に、か。 しょうがねーからこの菓子食って少しは本数減してやるよ。 オレは飴の包みを一つ開け、どこかへ飛んでいった包みを探す作業へとうつった。 投球サプライズ (10代目!遅くなりました!) (いや、十分はやいから大丈夫だよ…) (こんなんじゃダメっす!10代目のお目覚めより前にいないと…!) ((おはようからおやすみまで…?!)と、ところで同じ包みをそんなにどうしたの?) (あ、ちょっとさっき投げつけられたんすよ!10代目もおひとつどうぞ!) (え、投げつけられたものを?中身はなんなんだ?……獄寺くん、これ、飴とか粉々だよ) (えっ!) (あと、これ、オレは貰えないよ。獄寺くんの誕生日プレゼントみたいだからね) (なぜそれを!) (一つ一つ包み、開けてみたら?それと、獄寺くん、お誕生日おめでとう) (ありがたきお言葉っ…!) ((流石にバースデーカード入りのプレゼントをオレが貰うわけにはいかないよな)) ―――― ごきゅ、お誕生日おめでとう! なんとか間に合った。今朝頑張って書き上げたよ。 投球っていうか投袋。 プレゼントを5個持ってたのは59寺の5から。59個でも良かったけどさすがにちょいと無理かなて思って5個にしてみた。 2011.09.09 |