リク

□騒ぎたいお年頃
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『きゃっふー!雪だよ、雪合戦だよ!』

「名前ちゃん、そんなにはしゃいでると転ぶわよ」

『あはは、大丈夫だぶべっ!』

「しし、ダッセー」


痛いよ痛い。ルッス姐の言うとおり転んでしまった。ちょっと雪だからってはしゃぎすぎたね。でもすごく降り積もってるんだもの。そりゃ我を忘れてはしゃいでしまうわ。

あたしたちは今雪合戦をするべく庭に集まっている。昨晩から降り続けた雪は一晩で辺りを白銀の世界に。朝一でそれを見たあたしはこれはもう遊ぶしかないと皆(一部を除く)を起こして雪合戦にさそったのだ。

とりあえず最初はベルに雪玉をぶつけてやろうと思う。さっきの言葉が癪にさわったからね。


『そりゃーっ!』

「そんなの当たんねぇぶっ!」

「お、見事に顔面直撃しましたー。ミーのコントロールすげー」

『あはは、フランナイス』

「このクソガエル!」


怒ったベルがフランにナイフを投げる。ちょ、フラン、こっち来んな!


『ベル、危ないからやめれ!ナイフは投げるな!』

「ゔぉぉい!ベル、それは反則だぞぉ!」

「あ?これ何かしら投げて遊ぶゲームだろ」

「ちがうわよん。投げていいのは雪だけ。武器の使用は無しよ」

「つまんねぇ」


つまんなくないし。雪だって意外に固くて危ないんだぞ。思い切り投げたら結構痛いんだからな!


『次ナイフ投げたらベル退場ね。今イエローカード』

「雪だけとか面白くねぇじゃん」

「とか言って先輩雪投げのコントロール悪いだけなんじゃないんですかー」

「ム、そうなのかいベル?」

「んなわけねぇだろ。だって俺王子だもん」


でました、ベルのよく分からない理屈。王子だから何だよっていう。そりゃ王子だから優れた教養があるのかもしれないけど。暗殺部隊に王子もくそもねぇよな。つかこの年で王子だもんって痛いな。


『うわっ!』

「名前今失礼なこと考えてたろ」

『ノット読心術!』

「顔に出てん、ってぇ」

「ガキがぁ。無駄口叩いてるとやられるぞぉ」


スクがベルに雪玉を投げ付けた。ようやく攻撃体勢に入ったんだね、スク。


「王子に雪玉当てるとかありえねぇから」

「堕王子には雪に埋もれてる姿が一番お似合いですよー」

「カッチーン。カエル殺す」


フランの毒舌攻撃。さっきからベルばっかいじられてやんの。ぷぷ。やっぱ普段の行いが悪いから皆に狙われるんだね。まぁ普段の行いが悪いのはフランもか。あいつこないだあたしのプリン食べたからね。楽しみにしてたのに食べやがったからね。はん、フランなんかフルボッコされればいいよ。


『!あっぶねぇ!』


ものすごいスピードで二つの雪玉が頬を掠った。頬がじんじんするんだけど。雪玉の威力じゃねぇよこれェェ!


「名前先パーイ、ミーの悪口とか考えてませんでしたかー」

「俺の悪口もな」

『だからノット読心術!』

「顔に出てんだっつーの」

「そうですよー。しかも未だにプリンのこと引きずってるとか執念深すぎですー」

『やっぱお前心読んだろ!』

「あれ、バレちゃいましたー?」


そりゃそうだ!もし顔にプリンのことまで表れてたらびっくりするわ。


「まぁミーを敵にまわしたことを後悔するといいですよー」

「王子も名前とは敵だから」

『げっ』


最凶最悪な2人が敵に回ってしまった。どうしよう。ヤバいぞ。厄介な奴等だからできれば敵には回したくなかったのに。あたし的には極力2人には関わらずスクを集中狙いしてやろうと。


『うへぁ!』

「ししっ、色気のねー声」

「よけてんじゃねーよ」

『色気なぞあってたまるか。つかフラン怖ぇ!』


2人から集中狙いを受ける。無理。天才と術師が相手とか死亡フラグしか立たねぇよ。さらに2対1とかこちらの分が悪すぎる。仕方ない、ここは彼達に助けを求めよう。


『ルッス姐、マーモン!ヘルプ、ヘルプ!』

「うぉぉい!俺は、」

「ようやく私の出番ねぇ。名前ちゃん任せて頂戴」

『頼りになります姉貴!』

「だから俺は、」

「名前、いくら払ってくれるんだい?」

『いくらでも』

「Sランク任務2回分の金額を振り込んでおいてね」

『いぇっさー!』


やった。仲間が増えたよっ。ベルはともかくフラン相手ならマーモンが仲間になってくれたほうが有利だもの。術師には術師で対抗だ。お金ならレヴィに出させればいいし。それにルッス姐が味方ならひとまず安心。武器の使用は禁止だから雪玉のみの勝負。それならルッス姐の方が雪玉を投げる威力が強いだろう。


「無視すんじゃね、がはっ!」

「うっせぇ、ドカス!」

『え…』


無視され続けた可哀想なスクに攻撃をしたのは我らがボスのXANXUS。なんだか不機嫌だ!きっとスクがアホみたいにでかい声を出したから癇にさわったのね!


「ゔぉぉぉい!何すん、げばぶっ!」

「うるせぇ!」

「ボス、相当不機嫌のようだね」


今ボス雪玉投げたんだよね。え、雪玉って当たっただけで出血するようなものだっけ?…こわっ!ボスこわっ!


『ボ、ボス落ち着いて』

「おい」

『何、ボス』

「誰がこの遊びを提案した」


げ。もしかしてボスの怒ってる原因て雪合戦?くだんねぇことしてんじゃねぇドカス、的な。…提案したの誰だよまったく。


「名前先輩ですよー」

『ばかぁぁぁ!フラン、おま、何言ってくれてんだ!』

「ミー言いましたよねー。ミーを敵にまわしたこと後悔するといいですよーって」


恐ろしい子!数分前のあたし何故フランを敵にまわしたし。なんなのアホなの死ぬの?いや、死亡フラグはバッチリ立ってしまわれたが。ちくしょう。悔やんでも悔やみきれねぇよ!


「てめぇか」

『ご、ごめんボス!いやね、これはちょっと童心に返ってみようという試みで、』

「何で俺を誘わなかった」

『悪気があったわけじゃ…え?』


今ボス何て?何故誘わなかった?ボスのこと?


『ボスどうしたの』

「てめぇらだけで楽しみやがって。カッ消す」


えぇぇ。ボスも雪合戦やりたかったの?誘ってもらえなかったから怒ってたの?可愛いなボス。でもボスぐっすり寝てたから起こしちゃ悪いかなと思ったんだよ。ほら、ボス寝起き悪いし。って今はそんな場合じゃなくて!


『ちょ、ボスやめて!コォォォはやめて!』

「ボス本気じゃん。俺しーらね」

「僕も退散させてもらうよ」

「ミーも帰りますねー」


裏切り者!何自分らだけ助かろうとしてんだよ。レディを置いて逃げるなんて非道だ!


「名前ちゃん、私たちも急いで逃げるわよ!」

『ルッス姐…!うん、分かった、大好き!』


あたしの味方はルッス姐だけだよまじで。今度ルッス姐には何か感謝の意をこめてお礼しよう。


ドカーンッ


…危機一髪。ただ、あたりの雪が一瞬にしてとけてしまった。ボス、言ってくれれば一緒に雪合戦したのに。溶けてしまってはもう雪合戦には誘うことはできないけどね。


『ごめんよ、ボス。もう雪では遊べないけど、今から部屋でカードゲームでもしない?』

「…はっ、好きにしやがれ」


ボス口角上がってるよ。
今度からは必ずボスも遊びに誘おう。ボスのためと、何よりあたし自身のためにね。


騒ぎたいお年頃


(談話室へ向かう途中に転がってたレヴィや、外に放ったらかしだったスク)
(それらを見てボスを仲間はずしにしてはならないと再度心に誓った)


→謝罪


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