pkmn

□どうしてこうなった
1ページ/3ページ


「わたくしサブウェイマスターのノボリと申します。片側に控えるは同じくサブウェイマスターのクダリ」

黒の服を着て丁寧な口調で喋るノボリさん。
やっと来れた。ここまで来るのがどれほど大変だったか。初めて挑戦した時は、トウヤくんはどんな表情で戦うのかな?あっ、そこで微笑むのね!歯をくいしばる姿、たまらない……!と、トウヤくんのかっこよさに集中しすぎていつの間にか負けていたし。
でも悔いはなかった。むしろ達成感にあふれていた。知ってる?トウヤくんってバトル始める時、唇ペロッて舐めるの。そんな性的な始めかた見たことある??
煩悩の塊な私はトウヤくんの舌ペロリに動揺して指示をミスり秒で負けました。トウヤくんに申し訳なさすぎである。
でもサブマスの御二方がとてもイケメンと聞いて一目でいいから、いや、正直穴があくほど見ていたいから頑張って勝ちすすんだ。休憩中はトウヤくんで萌え補給しながら。そのおかげでようやくノボリさんとクダリさんに会うことができたのだ。トウヤくん様様である。頭が上がらない。

「ではクダリ、なにかございましたらどうぞ!」
「ルールを守って安全運転!」

ノボリさんと対をなす白のコートをまとうクダリさん。二人とも噂通りのイケメンだ。目の保養。
このイケメンズを写真におさめたい。でも会っていきなり写真撮らせてくださいはないよな。きっと断られる。いや、トウヤくんは快く承諾してくれたけど。トウヤくんの心の広さに触れすぎて、その優しさが世間一般のものと勘違いしそうになる。普通は会ってすぐの女に写真は撮らせない。私が逆の立場なら断るね。そういう女だよ私は。
でも御二方の写真ほしい。お願いするだけしてみようかな。お願いするだけはタダだ。例えその後不審者扱いされてバトル前に追放されたとしても。それは大きな代償を支払いすぎである。絶対に嫌だ。

「目指すは勝利!出発し、」
「あの!」
「んこう、……へ?」
「どうなさいましたか?」
「一つ、お願いがあるんですけど」
「お願い?どんなこと?」
「御二人の写真を撮らせてほしいんです」

言った。私言ったよ。全私がスタンディングオベーション。隣りにいるトウヤくんの笑顔が少しひきつった気がしたけど気にしない。トウヤくんは優しいからそんな私でも快くパートナーになってくれるもんね。トウヤくんの優しさに甘えすぎだろ私。

「写真、でございますか」
「ぼく写真好き。だから別にいいよ」
「クダリ……!」
「でも、一つ条件!ぼくたちのすっごいコンビネーションに勝てたらね。ノボリ、これならいいでしょ」
「……。分かりました。その条件で承諾いたしましょう」
「あ、ありがとうございます!」

俄然やる気でた。目標があれば人はそこにむけて頑張り、強くなれる!私の中のティモンディ高岸が強く応援してくれる。その目標が、たとえ不純な目標だとしても。ティモンディ高岸ほどのポジティブな人でも流石に止めに入るわ。でも、ゲーチスだってゲスな目標だったけど、その己の目標のためにたくさんの部下を従え、息子を己が思うままに操れていたじゃないか。……どう考えてもゲスはゲスだな。私も同等。

「あ、勝ったらトウヤくんに私のもらう分のBPあげるね。だから絶対勝とう!」
「う、うん。ありがとう。頑張って勝とうね」

やはりひきつった笑顔だ。でも露骨に態度に出さないトウヤくんは相変わらず優しい。なんていい男なの。そこに痺れる憧れる。その優しい男をBPで釣ろうとしている私がまるでゲスの極みの乙女みたいじゃないか。その通りだよ。いろんな男に手を出してるしな。でも私は憧れとして追ってるだけだから、いろんな男のフォトブック作ってるだけだから、問題ない。別に売ろうってわけでもないしね。発想がすでにゲスなことには触れないでおこう。

「じゃあ始めるよ!目指すは勝利!出発進行!」

そのセリフがスタートの合図だったと、あの時の私はつゆ知らず。始まりの合図でを遮ったことは申し訳ない。けど過去にとらわれないのが私のいいところ。どんなに騒いでも既成事実は変わらないのよ、やっぱ無かったことになんて都合のいいこと、聞けないの。恋の苦味を知った女のような横顔でたそがれている間に、ノボリさんとクダリさんのポケモンがだされた。ちょ、まてよっ、御二方のポケモンだす瞬間見てない!どんなフォームだった?くそ、惜しいことをした。
いつまでもぼやくわけにはいかないので、私もパートナーのポケモンをトウヤくんと一緒にだす。何度見てもトウヤくんのあのフォームはかっこいい。美男子は何をやってもキまるね素敵。またも全私がスタンディングオベーション。
いけない。またトウヤくんを見つめていつの間にか負けるという失態をおこすところだった。
今は勝負に集中しないと。私は学ぶ女なの。そう、私は二度同じ手はくわない。
このオレに二度同じ手を使うことは すでに凡策なんだよ!
誰も仕掛けてきていない。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ