その他

□気づくまで
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「ル、ルフィ、あのね!…好き。大好き!」
「ん?あぁ、おれも好きだ。ナマエは大切な仲間だからな」

ちっげぇよ!!この鈍感!!!

本日、船長であり想い人であるルフィに、私は思いきって告白した。
ルフィに誘われてこの麦わらの海賊団に入ってから、ずっと好き好きアピールはし続けてきた。それは、ルフィたん大好きはぁはぁ、などの明らさまなものではないが、ロビンやナミはもちろん、男性陣、それも鈍感なゾロにまで私の恋心がバレるほどだ。あのゾロにも分かるくらいだから、きっとルフィも私の気持ちに気付いてると思っていたのに。
いや、でも気づいてなかったのはまぁいい。問題はそこではない。私は、あなたの妻になりたいいいいい!!!!まずは恋仲にいいいいい!!!!!という気持ちで好きの言葉を紡いだのだ。だというのに、ルフィはそれを仲間に対しての好きだと勘違いしてしまった。そう、それが問題なのである。

私の、心臓がバクバク鳴ってはちきれちゃいそう、はあと。むしろ内臓吐くわ、まがお。といった精一杯の告白は、ファミリー愛として片付けられた。このやりきれない気持ちは何っ…?苛立ちだよ!!

「ルフィのアホ!バカ!禿げてしまえ!」
「な、なんでだよ!」

ルフィは私がなぜ怒っているのか分かってないようで、慌てている。
その行動すらも!憎い!!でも愛しい!!
私の中で、好きの意味に気づけこのヤロー!!という私と、あらあら、そんな天然さんなところも好きよ。という私が脳内で暴れている。
結論、好きだバカ!!…私、少女漫画のヒロインになれるかもしれない。

「この超鈍感め。もういいよ。サンジに慰めてもらうから」

やりきれないこの想いを打ち消すため、サンジに美味しいスイーツ作ってもらって心の傷を癒そう。仕方ない、まだ時期が早すぎたのだ。私にも、彼にも。
恋って、なんですか?恋って、なんでしょう。
この答えをルフィが見つけ出せるようになるまで再戦はおあずけだ。
そうと決まればこのことはもう忘れて、スイーツを堪能しよう。女の子はね、お砂糖でできてるの。つまり体はスイーツでできているの。糖分大好き。一人で食べるのは寂しいのでナミとロビンも誘おうかな。この前買った新しい紅茶も出して、私の愚痴を聞いてもらおう。おい、それってさっきの出来事忘れる気ないぞ私。

「ナマエ、待てよ!」
「おおっ?!」

サンジの所へ足を運んでいた私の腕を、ルフィが掴み引き止める。突然のことに対処できず、腕を引かれるままにルフィの胸の中へ背中からダイブ。私、ルフィの腕の中にいる…!きゃっ。スイーツ食べる前にお腹いっぱいごちそうさまです。

「ど、どうしたのルフィ」
「ナマエ、サンジのとこ行くのか…?」
「うん、そうだよ。だから離して?」

嘘です離さないでください、むしろもっと強く抱いてぇぇ!!!はあああん!!!
なんてことは言えるはずもなく、ドキドキを隠し平生を保つ。再戦はおあずけってオラ決めたんだ!

「ダメだ。行かせねぇ!」
「いかっ…!…なんっ、何で?」

行かせねぇ!の言葉に驚き、咄嗟に首を後ろへ向ける。思いの外顔の距離近いっす!!ちゅーできそう。鼻血でそう。

「何でって…。…何でもだ」
「何でもじゃ分かんないよ、ちゃんと理由言って?」
「…おれのせいで怒ってるのは分かってるけどよ、だからってサンジに慰めてもらわなくてもいいだろ」

神様ありがとう、サンキュー、グラッツィエ、アーハン、ウンババ。ちょっと落ち着け私。いやでもこれが落ち着いていられるだろうか、いや落ち着けるわけがない!
これはルフィの嫉妬、か?…自意識過剰かな?いや、そんなはずはない!!!
サンジに慰めてもらわなくてもいいだろ?つまりそれは黙って俺の胸の中で泣いてろよ。ってことかああああ!!!クリリンのことかあああ!!!!ダメだテンションが限界値突破。

「私がサンジの所行くのが嫌なの?」
「嫌ってわけじゃねぇけどモヤモヤする」
「何で?」
「うーん…。分かんねぇ」
「ん、そっか」

ああああ、自惚れてもいいのかな。いいんです!!きっとルフィもあたしのこと…。そう考えるだけでニヤニヤが止まらない。え、再戦?おあずけはおあずけだけども、その日、遠くはないっすよ。すぐそこじゃああああ!!!!敵は本能寺にありいいい!!!!今日の私、感嘆符が多い。けど仕方ないわこれは。恋する乙女マジックである。

「…やっぱりサンジのとこ行くのか?」
「ルフィが寂しがるからここに居てあげる」
「そっか」

にししっと笑いながら後ろから抱きしめるルフィ。その笑顔、まぶしいっす。あああ、かっこいいわまじで惚れるわ。あ、惚れてるわ。
私だけ惚れてるのは分が悪いので、モヤモヤの理由、すぐに分からせてやるからな。恋愛小説でも読ませればいいかな?読まないか。なら今度お姫様が結婚する物語をたくさん読んであげよう。
退屈だと寝たら叩きおこす。私はスパルタ教育なのである。

「覚悟しといてよ」
「ん?何をだ?」
「んー、ないしょ!」


(ナマエちゃーん!サンジ特製ケーキはいかが?)
(スイーツ…!!!いる!今行く!すぐ食べる!)
(お前今ここに居るって言ったばっかじゃねぇか!)
(そうは言っても三大欲求ぞ、食欲は)
(おれよりケーキがいいのかよ…)
(女の子はね、お砂糖でできてるの。ケーキは生きる源。だから悪いけど諦めて、スイーツには敵わない)
(ひでぇ!)




2011.09.04
 


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