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□恋におちた瞬間
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今日も町内を見回って並中にやっと戻ってきたら、今度はグランドで群れを見つけた。女生徒を3人で囲んでるいかにもな不良男子生徒。早く応接室に戻って書類整理をしないといけないのに。これだから草食動物は困るんだ。弱いが故に群れを成し、自分の身の程をしらずに肉食動物にむかってくる。それで返り討ちにあうなんてとんでもなく愚かだ。
……。
はぁ。書類整理は草壁にでも頼もう。今は授業中なのに堂々と群れてるのだから、君達は思う存分咬み殺させてもらうよ。
そう思ってその群れに近付いた刹那、男子生徒が全員倒れた。その中で彼女は1人、凛としてそこに立っている。
彼女がやったのか?
以外な出来事に少なからず驚いていると彼女がこちらを向いた。
黒く長い髪が風になびいている。こちらをむいた彼女の顔をみれば、向こうも僕に気付いたみたいでにこりと綺麗な笑顔をみせた。
ドキッ。
胸が高鳴り鼓動がはやくなる。強い人間を見つけたからだと思ったが、それとは違う少しモヤがかかった感情が心を覆いつくしていく。今の自分には到底理解できない気持ち。自分の感情なのに自分ではそれが何なのか分からない。そんな自分に腹がたってくる。
このイライラを草壁にぶつけてやろうとか考えていたら、いつの間にか彼女がすぐそばまで来ていた。

『私、今日転校してきたばかりなんでまだ友達いないんです。なので1人目の友達になってくれませんか』

とか笑顔で言ってくるから、

「好きにすれば」

って1人が好きな僕なら絶対言わない言葉を口にしてみたり。

『ありがとうございます』

そう言い照れたように笑う彼女を見てたら、こんなのも良いんじゃないかとか草壁のことも見逃してやろうとか。
冷たい心にほんのり温かい陽がさしてくる。
この感情はやっぱり分からないけど、一つだけ。
僕が彼女に惹かれているのは確かだと、柄にもなく少し照れながら思った。



恋におちた瞬間(とき)


これから僕ら2人が付き合うとかはまた別の話



2010.09.13
 
 

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