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□雲なお父さん
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『お父さん』
「なに」
『あの、私もそろそろ社会に貢献するために、』
「ダメ」

えぇ、私まだ最後まで言ってない。せめて最後まで聞いてから言ってよ。しかも社会に貢献、まで聞いたらとても善良な市民じゃないか。何がダメなのか。社会じゃなくて並盛に貢献するのならいいのか。

「どうせまたバイトがしたいとか言うんだろう」
『う…』
「まだ成人してないんだから今は働かなくていいんだよ」
『でもやっぱり成人してから初めて働くより、今のうちに仕事というものを体験しておくべきかと』
「ダメなものはダメだよ」
『どうして?』
「それは僕の可愛い可愛い可愛い(中略)可愛いなまえに何かあったらいけないだろう」
『何かって何もないよ。それに私は普通の人より強いから大丈夫』

お父さんの仕事上私だって危険と隣あわせだ。だからよく、リボーンさんや綱吉さん率いるボンゴレの守護者の方々に護身術や戦闘の仕方諸々を教えてもらっている。だから一般人よりはかなり強くなってるので日常での危険はないと思うんだけどな。お父さんは心配性なんだよ。
たかだかバイトしてるだけで、マフィアに襲われる以上の恐怖なんて体験しないから。まぁ確かにそのマフィアが攻めてきたら困るけれども。けど、そんなこと言っていたら私は何もできない。

「自分の大事な人を心配しない人なんていないでしょ」
『読心術!』
「ずっと一緒にいるんだからなまえの考えてることぐらい分かるよ」

何それ複雑。私の考えが筒抜けだなんて、まだまだ子供だと言われているみたいだ。

『それは喜んでいいのかどうなのか』
「何?嬉しくないの?」
『嬉しくないっていうか、隠し事が更に出来ないなって思って』
「当たり前でしょ。僕に隠し事しようだなんて無謀だね」

無謀って分かってるよ、うん。でも年頃の娘にはお父さんに言えない秘密事だってそれなりにあるんだよ。彼氏とかバイトとか友達関係とか彼氏とか。…彼氏はいないけど。私も普通の女子高生みたいに青春謳歌したい。

「彼氏なんて必要ないでしょ」
『またか!私そんな分かりやすい態度だった?』
「いや、今のは心の中を読んだんだよ」
『やめてよ、プライバシーの侵害!』
「読まれる方に非があるんじゃない?」

そんなわけない。責任転嫁はやめてほしいな。どう考えても読むほうが悪い。年頃の娘の心を覗き見るって、日記帳を見るのと同じくらい罪深いことだ。

「そんなことよりなまえはそんなに彼氏が欲しいの?」
『彼氏は、そりゃ…。お年頃だし、さ』
「……」

お父さんの顔が険しくなってきました。立腹度10段階で表すと、まだ3くらいだけど。怖いものは怖い。というか私、質問に正直に答えただけなのに。

「好きな男のタイプは」
『え?タイプ?えっと…』

唐突。とりあえずお父さんが納得しそうな答えを言わなきゃ。なんて答えよう…。ここで間違っても骸さんみたいな人なんて言わないようにしなければ。彼氏どころか、一生外に出してもらえなくなるかもしれない。

「年上派?それとも年下派かい?」
『ん?特にこだわりはないかな』
「年の差は何歳まで大丈夫なの」
『それも特には』
「ふーん」

少しお父さんの表情が和らいだ気が。何故だ。そうか、自分より年下の若造には娘を任せられないから、いっそ年上にしなさいということか。待って、確かに特に歳の差は気にしないけど、流石にお父さんより年上の人は考えるよ。

「じゃあ、僕は?」
『……』

え?僕?ぼく?…。
マイファザー?
それは、お父さんみたいな人はどうだい?というか結婚するならお父さんみたいな人としなさい、的なノリですか?
それなら、

『いいと思う。お父さんのこと好きだし』
「!」

制限多いところはしんどいけど、お父さんのこと尊敬してるし、好きだもの。

「本気で言ってるの?」
『え、うん』

まぁ、実際はお父さんみたいな人と結婚するかなんて分かんないけどさ。というかお父さんみたいな人を探すほうが難しいと思う。クセが強すぎる。

「ねぇ」
『な、に?』

どうしてお父さんはそんなに笑顔なの?どうしてお父さんの動きはそんなに素早いの?どうしてお父さんのお顔がこんなに近いのおおお!

『お父さん、近い』
「誓い?ワォ、なまえは神に誓えるんだね」

何の話だ。神に何を誓えっての?隠し事をしないことか?はたまた彼氏をつくらないことか?どちらもお断りだ!

『お父さんの言ってることわけわかんないよ』
「そんなに焦らなくても、これから僕が一つ一つ教えてあげるから」
『え、いいよ。いらない』

よく分からないけど、お父さんの機嫌がよくて妖しく笑ってる時は私にとってろくでもない事がおこる。謹んでお断りいたします。

「じゃあなまえは誰に教えてもらうっていうんだい」

だから何をだ。勉強?戦闘?まぁ、何にしても教えてくれるなら優しい人がいいよね。すると思い浮かぶのは…。

『綱吉さんとか?』
「……」
『ひっ!』

お父さんが怒ってます。何故でしょう?分かりません。お父さんのお顔が般若のようです。泣きそうです。逃げたいです。立腹度10段階で表すと、え?しつこいって?こうやって表現を和らげないとやってらんないのよ。

『おっ、お父さ、』
「綱吉なんかになまえはやらないよ!!」
『ひぃっ!』
「僕よりも綱吉だって?綱吉となまえが結婚?なまえはお父さんと結婚するって言ってたのに…。綱吉、咬み殺す」
『ちょ、落ち着いて!結婚なんてしないし!』

何をどう勘違いしたら結婚なんて話になるんだ。お父さんの考えていることが私には分からないよ。結婚とか彼氏とか、娘の恋愛事情に過敏に反応しすぎだよ。

「でも綱吉に教えてもらうって…」
『それは綱吉さんが1番優しいから』
「…!優しい?もう経験済みってこと?なまえ、綱吉とそんな仲だったのかい」
『うん?普通に仲良いよ』
「あのロリコンめ!殺す!」
『お父さん!まっ、』

私が待ってと言い終わる前にお父さんは走っていってしまった。殺すだなんて物騒な言葉をはいて。
綱吉さん大丈夫かな…。恐らく私の答え方が原因だったのだろうが、心当たりがないので私は悪くないということにする。ごめんね綱吉さん。アーメン。


雲のお父さん


(…綱吉)
(あ、雲雀さん。どうしたんですか?)
(君がロリコンだとは思ってなかったよ)
(はぁ?)
(ロリコンなのは君の勝手だけどなまえに手を出すなんて)
(なんのことですか)
(しらばっくれても無駄だよ。君、なまえとヤったんだって?)
(ヤっ…!そんなことしてません!
(まだ嘘つくき?まぁ、例え本当のこと言って謝っても許さないから)
(ちょっ!)
(結婚なんて認めないよ!ここで君を咬み殺す!)
(ひぃ!!)

―――
ツナパパンに続いて今度は恭弥パパン。
雲雀さんがパパンだったら彼氏はつくらせてくれなさそう。"弱い草食動物なんかになまえはあげないよ。なまえは僕のだ" 的な。
というかそもそも、お父さんと結婚するって言ってただろう。言質はとってあるよ。と小さい頃の約束を引っ張り出してきそう。娘溺愛。

2011.01.02
 
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