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□花粉注意報
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『へっぷしゅ…ぶぇぷし…っくしょい!』

「…大丈夫か」

『ズズッ…無理しぬ。くしゃみ止まんないし鼻水ノンストップだし目開かんし』

「だから家こもってたんだな。風邪かと思ってた」

『風邪のが楽だ』

「そうか?風邪のほうが辛そうだけど」

『花粉なめんなよ。風邪は数日で治るけど花粉症はそうもいかねぇんだぞ。花粉有る限りこの鼻水は止まんねぇ…ズズッ』

「なんかごめん…でもオレ花粉症じゃないし分かんないや」

『でも今年は花粉の量が多いからツナもなるかもよ』

「どーだろ…まぁ、なったらなったでその時考えるよ」

『早くなればいいのに』

「えぇ、おま、何言ってんの」

『あたしだけこんな辛いのは不平等だ。鼻とかかみすぎで血まで出たんだぜ』

「もう鼻もげば?」

『もげるもんならとっくにもいでるよ。あと目ん玉も取り出して洗いたい』

「オレから言っといてあれだけど、グロいよソレ」

『いやもうグロいとか言ってる場合じゃないんだって』

「病院行ってこいよ」

『鼻もぎに?』

「ちがっ!薬もらいにだよ!」

『あたしの代わりに行くがいいよ』

「いや、自分で行けよ」

『外出れん』

「はぁ…今はとりあえず薬局で薬買ってきてやるから後でちゃんと病院行けよ」

『おう、ありがと』

「んじゃ行ってくる」

『行ってら〜』

―ガチャ

―パタン


《ふぇっぶしょ!》


『……』

―ガチャ

『お早いお帰りで』

「うん…突如オレの体内に微細な物質が侵入してきたから…」

『そうか…おめでとう。これでツナも立派な花粉症者だ』

「めでたくねーし嬉しくねーし」

『あたしは嬉しいよ。ツナまでもがくしゃみと鼻水に苦しむなんて』

「人の不幸を喜んでんじゃねぇよ」

『無理』

「即答か!」

『だってツナとおそろいで嬉しいんだもん』

「…なまえ」

『どうせ苦しむなら1人より2人だよな。道連れ道連れ、あはははは』

「少しばかりキュンとしたオレのときめき返せバカ」

『あはは、愉快痛かいぇっくしょい』

「ばっ!こっちむいてくしゃみするなよ」

『うるせ、えっぶしゅ!…薬ぷりーず』

「いや、オレも外出れないから無理」

『なにやってんだ貴様あぁぁぁ』

「あれ、花粉症になればいいのにって言ったり共に苦しもう発言してましたよね」

『それとこれとは別だ』

「都合よすぎ」

『そんなことよりどうすんよ』

「切替え早いな」

『あたし外出れないし…あ、ちょっとツナ買ってきてよ』

「ふりだしに戻ったー」

『さぁ早く』

「行かないよ?!」

『じゃあこの状況どうすんだよ!』

「オレに怒鳴られても…」

『しょうがない、じゃんけんで決めよう』

「は?」

『じゃーんけーん』

「え、え?」

『ぽん』


なまえ→パー

ツナ→チョキ


『なぜだ!!』

「あ、オレ勝った」

『普通焦った時はグーしか出せんだろ!』

「別にそんなことないけど」

『くっそー!…あ、3回勝負にしようぜ』

「ダメ」

『鬼畜、冷血人』

「オレが悪いみたいな言い方してるけど、じゃんけんで決めようって言ったのなまえだし、オレのが不意打ちで不利な状況だったからね」

『男のくせにいちいち細かいこと気にしてんじゃねぇよ』

「細かいか?これ細かいか?」

『しょうがない、買いに行くか』

「オレの話スルー?」

『マスク、マスク…はいこれツナの』

「え?あ、ありがと」

『いえいえー、じゃあ行くよ』

「んー、いってらっしゃい」

『お前も行くんだよ』

「は?オレじゃんけん勝ったし」

『だからツナ1人じゃなくてあたしも付いて行ってやるって』

「おかしいだろ!」

『つべこべ言ってないで行くよ』

「えぇぇぇ」

『薬局デート…嫌?』

「よし行こう」

『…(ばかだ)』


花粉注意報


(ねぇツナ)
(何?)
(風が黄色いんだけど)
(うん、黄色いね)
(あたしらよくこの中薬局まで来れたね)
(持ってきたティッシュ全部使ったけどね)
(でも無事に着いたなんて凄くね?)
(うん 頑張ったよなオレ達)
(なのにこの仕打ちはないよね)
(オレもそう思う)
((定休日とか聞いてないんだけど!!))

―――
花粉飛んでますね。びゅーびゅー飛んでますね。宇宙服がほしい今日この頃。


2011.04.19
 
 

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