嫌い嫌い大嫌い。 何が一番愛してるよ。どうせ愛人みんなに言ってるんでしょ。そんなありきたりな言葉で私が満足するとでも思った? 安く見られたものね。 今まで私のために尽くしてきたですって?尽くしてあげたのは私の方よ。好きでもない男のご機嫌をとって、気持ち良くもないのに喘いで。 感謝してほしいわ。 こんなこと言う女で見損なったでしょ。そう思うのはあなたの勝手よ。でも見抜けなかったのは誰でもなくあなたなんだから。そのへんよく覚えときなさい。 何で今になって突然本性さらけ出したか? あなたにうんざりしたからよ。初めのころは愛してるの言葉に酔ってたあたしだけど。…いつだったかしら。あなたから女ものの香水、それも私がよく知る片割れの使ってる香水の香りがしたとき。ようやく酔いがさめたの。 私はただの愛人。片割れが本命。 他の愛人より扱いが良かったのは、私が瓜二つだったからよね。 片割れである京子に。 京子と同じ顔で微笑んで、同じ声で喘ぐんだからこれ以上ないぐらいに完璧な代役よね。 でもそんな、あなたに都合いいばかりの代役なんてもう真っ平よ。 例え双子でどんなにそっくりでも中身は違うの。 あなたもそんなこと分かってるつもりでいたんでしょうけど、代役に溺れたあなたは途中で見失ったわ。 あなたが京子に最後に会ったのはいつ? へぇ、昨日なの。ふふ、そう。 ねぇ、気付かなかった? 昨日あなたの下で笑っていた子があなたのことを憎んでいたことに。 あなたが京子だと思って深い愛を注ぎながら抱いた子は、本当に京子だったのかしらね。 おかしな人。本命とただの愛人を間違うだなんて。なんて滑稽なのかしら。 京子もきっと悲しんだと思うわ。 愛してる人と自分の片割れが最中の時に、扉の前へ来てしまったのだから。 あらあら、真っ青な顔してどうしたの。 殺気をあてないでよ苦しいわ。 殺してやる?あなたにできるの?京子にそっくりな私を殺めるなんてこと。 できるはずないわ。 でもどうか落ち込まないで。あなたの願いは叶うわ。 でも一つ言っておくけど、あなたのためじゃないから。 私と京子のためよ。 そう、あなたに運命を狂わされ命を削られた私と京子の為。 どういう意味か分かるわね? それじゃあさようなら。 生涯自分を責め、苦しみなさい。 手遅れな者 (代役ということに気付き復讐を考えた者) (本命でありながら深く傷をおわされた者) (上面の愛に溺れ真実を見抜けなかった者) (気付いた時には全て手遅れ) ――― |