long story

□光の魂<第四章>
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血盟城の前庭に俺たちは・・・
この場には最も似つかわしくない男を見送るために立っていた。



「ごめん・・・・アーダルベルト・・・
こんなところにまで呼び立てちゃってさ・・・
その上にあんたがもう二度と会いたくなかった奴らと対峙するはめに陥らせちゃって・・・・」

それでなくてもこんな場所・・・
彼にとってはとんでもなく居心地が悪いんだろう・・・




「しょうがあるまい・・・俺の持つ”十貴族の地位”を返上したいと思っていたのはこっちも同じだ。
それがどういうことなのかは、俺もわかってる」

いかにも『めんどくさい』と言いたげに、アーダルベルトは空を大きく仰ぎながら、
一つ大げさにため息をつく

「本当に・・・・もう二度とここに足を踏み入れるつもりはなかったんだがな・・・
これも最後のけじめだ」

「・・・あんたにとってここは・・・決していい思い出のある場所じゃないっていうことは
わかっているんだけどさ」



俺は視線を足元に落とした。


ここは・・・この城は・・・

あんたが愛したジュリアさんが命を落とすことになった原因が詰め込まれている場所だ。

そして・・・
あんたにとって俺は・・・
嫌でもそのことを思い出さざる得ない存在であるはずだ。
俺の顔なんか見たくもないだろう・・・

「・・・ごめん・・・・な?アーダルベルト」


謝る言葉しか思い浮かばず・・・
ただ俯くしかできない俺の頭に・・・

ゴン!と結構大きな衝撃が落ちてきた。

それがアーダルベルトのごつい大きな手であることに気づき慌てて顔を上げた俺の・・・
長くなってきた髪にごつい指が絡められて・・・
そのままゴシゴシと少し乱暴に・・・
でも優しさもちょっぴり込められて
俺は頭を撫でられた。

俺の髪はものの見事にくしゃくしゃになってしまった。
「わっわっわ!!」


「アーダルベルト!!」

よたつく俺の身体を支えてくれながら・・・
コンラッドが噛み付かんばかりの勢いでアーダルベルトを睨みつけたので

「ちょ・・・落ち着けって!コンラッド!!」
と思わず間に入る。



・・・ったく・・・この二人って・・・
因縁の対決そのものなんだよな・・・未だにさ・・・
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