long story
□光の魂<第6章>
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波を蹴る音があたりに響く
優雅な真っ白な船体は真っ青な海を滑る様に進んでゆく。
子供たちは初めての船旅に甲板をはしゃぎまわり、付いているものたちをはらはらさせている。
(本来護衛としてくっついてきたはずのヤツは・・・相変わらずの船酔いで早々に撃沈した)
そして・・・・俺は船べりから身を乗り出し水平線を眺めている
髪を撫でる海風が心地いい。
「陛下・・・風が冷たくなってきました。もう船室に戻られたほうが・・・・」
ファサ・・・・と肩にケープがかけられ・・・そのまま背後から抱きすくめられる。
「誰が陛下なんだよ・・・・わざとらしいヤツだな・・・フォンルッテンベルク卿・・・・」
少し怒りを込め振り返りざまに上目遣いで睨みつければ・・・・
「貴女のその瞳が見たかったからですよ」
と、顎に指をかけられる。
柔らかい笑みと共に口付けが降って来る・・・・。
「・・・・・気障なやつ・・・・・」
喉元でクッと笑い俺はされるがまま・・・・
全ての世の中で一番愛しいものの愛撫に身を任せる・・・。
国を旅立ち既に10日あまり・・・
俺たち家族は優雅な船旅を楽しんでいた。