一話物語

□拍手ログ
1ページ/5ページ




―それは今よりも昔の話。






木々生い茂り、穏やかに流れる風。

静かに流れる川、暖かく降り注ぐ陽射し。


大きく聳える山。
その山にある深い森。



その奥地、誰も足を踏み入れることのできない、奥深い小さく拓けた木々に囲われた空間。



そこには人が二〜三人座れるくらいの岩が一つあり、長く伸びた草が茂り、色鮮やかに咲き誇る花と優しく照らす太陽の光があった。



生き物達も訪れる、この暖かな空間。


中央にある岩の上で、陽射しを受けて眠る小さな存在があった。



淡い茶色の髪、白い肌。
長い睫毛、形の良い唇。
華奢な体付きに、幼さを感じる寝顔。


この山に唯一いる人。



子供。



安心しきったように眠る、小さな子供の周りには、生き物達も安心しているように眠っていた。



この穏やかな時間が崩れるのは、平安時代のお話。






―それは今よりも昔の話。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ