long story
□誕生日
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今日は天気も良いのにマリアは部屋から外を眺めていた。
もうすっかり景色は夏である。
イギリスの夏は心地の良く爽やかで、むしろ少し肌寒いと感じるくらいだ。
そのせいか、日本の夏はじめじめして蒸し暑いんだろうな…なんて考えが浮かぶ。
「夜は誕生日パーティーだよね…沢山、人がくるのかなぁ…」
−トントン
「はぁい。」
「マリア、髪を結いにきたわよ。」
「あ、もうそんな時間なんだ。」
「そうよ。今からしないと間に合わないもん。」
部屋に入ってきた母は着物の入った桐の箱と髪を結う道具の入った箱を持っていた。
「着物は自分で着れるからね。」
「わかってるわよ。ほら座って。」
それから時間をかけてマリアの長い髪を母は丁寧に結った。