GIFT

□気付いてください。
1ページ/11ページ

穏やかな太陽の空の下でハボック達はせっせと手を動かしていた。
本日の訓練内容・・・・草むしり。
東方司令部ではこうした訓練という名の雑用が度々行われる。
他にもロープで降下しながら外側の窓拭きや、柵の補修、ペンキ塗りなどがある。


「それにしてもずいぶんと育ったモンだな」
「日当たりも良いですしね」
一面に広がるシロツメクサとクローバーをまとめてむしり取っていく。
ハボックと隊員達は手も口も休むことなく動かし続ける。
話題は色々と移り変わり、今は1人の隊員の話に耳を傾けている。
「ガーデニング?」
「彼女が好きでさ、色々と植えてるんだよ」
「それでお前もはまったわけか」
「うーん、ハマッたのは花言葉だな。彼女が教えてくれたんだけど面白い」
「ハナコトバ?何だそれ?」
「その花が持っている意味だ。愛とか約束とか色んなモノがある」
隊員から飛び出した単語にハボックは興味を引いた。
「それって花によって違うのか?」
「はい。例えばプロポーズに赤いバラが定番ですが、バラは愛・愛情という意味があるんですよ」
ハボックの質問に隊員は引き抜いたばかりのシロツメクサを見せた。
「こんな草花にも意味がありますよ。これは『私を想って』です」
へえー、と一同は感心したように隊員を見た。
「同じ花でも色によって意味が変わるモノもあります。
さっきのバラなんて良い例ですよ、黄色になると『嫉妬』とか『不貞』になるんですよ。
さらに!ピンクの大きなバラになると『赤ちゃんが出来ました』って意味に!」
うはぁっ!と一同が驚き、面白いだろ?と隊員は笑っている。
「聞いて良かった。バラを贈るなら赤にしよう」
ハボックがうんうん頷くと俺も、俺もと他の隊員達も頷いた。

わしわしと掴んでは引き抜いていた手をハボックは止めると、おっ!と笑った。
「四つ葉みーっけ!」
「やりましたね!隊長」
「きっと良いことありますよ!」
隊員達はハボックに続けとばかりに四つ葉を探しだした。
「こういうのって探そうと思うと見つからないんだよなぁ」
「ホントホント」
「やっぱり隊長良いコトありますよ」
ムキになって隊員達が草をむしり取っているのをハボックは笑った。
クローバーを引き抜いて、目の前で揺れているシロツメクサを見てにっこりした。
『私を想って』花言葉か、良いコト聞いた。
これならアイツが受け止めることも逃げることも出来るから、オレの想いを伝えるのにピッタリだ。
幸先良いかもしれないな、幸運のお守りにしよう。
そっとシロツメクサを摘み引き抜くと四つ葉と一緒にポケットに差した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ