Crap etc

□日記過去ログ09〜
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【溜め息】



溜め息を一つつく毎に、幸福が一つ逃げると誰かがいった。
それが事実であるならば、既に自分から幸福は遠ざかっているだろう。
溜め息をつかない日などない。
毎日が苦労の日々だ。


「先日の案件書類、どこやった?」

「奥の書棚にあると思いますが…見当たりませんでしたか?」

「探してみたんだけどなー」


ハボックとファルマンが二人で首を傾げていると、思い出したように椅子を立つフュリー。
ブレダが驚いてコーヒーを零しかけた。


「すいませんっ!今日書庫に別資料持って行った時に―――」

「紛れたか?」

「…お手数おかけします…」

「いや、いいさ。ファルマン、手伝ってくれ」

「はい」


内心では溜め息をつくハボック。
これでまた幸福が逃げた。
もう手元には何も残っていないような気がする。




・・・・・




ファルマンを伴って書庫に入り、使用用途を述べる。
慇懃無礼な事務方の人間に形だけで頭を下げた。
よりにもよって一番苦手な人間がそこにいるなんて。
また溜め息。
今度は盛大に。


「そんな顔しないでください。さあ、探しましょう」

「…めんどくせぇ」

「覆水盆に返らず、です」

「はいはい」


また溜め息。
最近の外務の出動回数と、内務の仕事の多さを天秤に掲げてみる。
ちょうど釣り合うくらい。
なるほど疲労の度合いが凄まじいわけだ。
苛々するハボックの横顔を眺め、ファルマンが苦笑い。
全く―――上官なのに子供っぽい。


「ニヤニヤしないで探せ」

「おや、すみません」

「…悪いと思ってねぇだろ」


愚痴を言う上官を尻目に、ファルマンが案件書類を探し始める。
隣で聞こえる溜め息。


「―――面倒見のいい貴方が好きですよ」


そんな一言に幸福を感じる自分。
現金だなと思いつつ、笑う。



「知ってるよ」



END


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