夏祭り
□夏祭り J
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残された倉持は、遠ざかっていく4人の背中を暫く眺めていた。
望む、望まないに関わらず、自分たちは大人になっていく。
その過程の中で「自分の気持ちに素直に行動する」ことは、なんとなく出来なくなってしまって。
周りを見て行動する。
協調性を大事に、輪を乱さない。
ワガママを言わない。
相手のことを考える。
そんなことを覚えて、それと引き換えに心の奥に隠していく。もちろんそれも大切なことなのだけど。
それに、
恥ずかしい、と思うことも覚えてしまって。
小さなプライドが邪魔をするようになる。
十数年、一生懸命に生きてくれば、そこに小さなプライドが芽生えてしまうのも当然といえば至極当然で。
だから。
自分の気持ちを隠して過ごすしか無くなる。そして、それがいつしか普通になり、「気持ちに素直に」なること事態が外れた行動として映るようになってしまう。