藤堂平助追悼

□意地っ張り
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「ったく何だぁ!?」

寝入りばなを挫かれた左之助は苛々して叫んだ。室内からの音だ。

「何でもありません!」

平助の高めで涼やかだがどこか掠れたような声が聞こえた。その後も耳につく音が幾度も聞こえ、眠りにつくのを諦めた左之助は室内を覗き込んだ。
部屋の中心に立ち尽くす平助、その両手は紅く染まっていた。
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