藤堂平助追悼

□意地っ張り
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「だからって、自分痛め付けるようなことしたら意味ないじゃねえか」
「そう、ですよね……」

平助はぼろぼろになった自分の手を見つめて呟いた。表情がみるみるうちに暗くなる。

「ったくまた暗くなってやがる! もっと明るく行こうぜ明るく!!」

今度は頭をはたかれて、平助は「痛っ」と声を漏らした。その顔には笑顔が見られる。

「あはは、そうですね! 私も、原田さんを見習ってみることにします! 手当てとか、色々ありがとうございました、原田さん!!」
「ちょっと待った!! その原田ってのやめてくんねえ? むず痒くて仕方ねえ。左之、そう呼んでくれ!!」

平助は一度呆気にとられ、その後嬉しそうに顔を綻ばせた。

「……はい、左之さん!」

その笑顔は十代の少年らしいあどけないものであった。
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