藤堂平助追悼

□甘えん坊
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喧騒がしばらく続く。やがて二人は休戦して息を整える。怪我人が二人して何をやっているのやら。真夏の空気がさらに熱気を増した。

「はあ、俺何をしに来たんだ馬鹿らしい」
「あ、私のお見舞いって馬鹿らしいことなんだ、ひどーい!」
「そんなことは言っていないだろう。わざわざ見舞いに来て体に悪いことしてちゃ実も蓋もないなって話」

新八は苦笑しながら平助の目の辺りを軽く手で覆った。その手の冷たさが心地よくて平助は自然に目を閉じた。

「新さんの手、冷たくて気持ちいい」
「怪我したせいで血の気失せてるからな」
「え、そっちの手なの? 駄目だよ安静にしておかなくちゃ!」
「別にいいんだよ」
「よくないよ!」

そう言いながらも平助は新八の手をどけようとしない。傷の完治しない手に無闇に触るのをためらっているのだろう。
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