藤堂平助追悼

□意地っ張り
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「あちぃなぁ」

口に出したら少しは紛れるかと思ったが、当然のことながらそんなことはない。むしろ、暑さがいや増した気がするほどである。
視線を室内に移すと、やはり木刀を振る平助の姿がある。左之助はうんざりと口をへの字形に曲げる。

(本当、よくやるよ)

そしてまた横になる。こんな日は寝ているのが一番、とばかりに再び目を閉じる。そして喧しく鳴き続ける蝉の声すら子守歌にウトウトとまどろみ始めた。
その時、何か硬いものが床を打つ張った音が左之助の耳についた。
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