藤堂平助追悼

□純粋
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ただでさえ小さな背中をさらに小さく縮こまらせて部屋を出ていく姿を見て、総司はその後を追いかけた。
熱気の籠った建物から足を踏み出すと、涼しさを増した風が強く吹き付けた。目線を落とすと石段の下に追いかけていた背中が見えた。

「平助!」

名前を呼ばれた者は弾かれたように振り返る。驚きに見開かれた目は、その声の主を認識してグッと細められた。

「総司! 総司も抜けてきちゃったの?」
「平助こそ、こんなところにいて寒くない?」
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