藤堂平助追悼

□甘えん坊
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「ひまぁ」

そう言って平助は暑苦しそうに寝返りをうった。頭部には白い布がしっかりと巻き付けられている。その年の六月に池田屋で額に負った傷が、一月経った今になっても完治せずにいるのである。

「うー、暇だよー」

だからといって、日がな一日こうして寝ているというのは、平助にとって苦痛で仕方がない。

「誰か、来てくれないかな……」

それも空しい願いであった。他の者は皆すでに職務についており、平助の部屋など訪ねるわけもない。よって、平助は一人暇を持て余さねばならないのであった。
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