籠の鳥が飛び立つとき(004)

□11.解放
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セットしていた点滴のアラームにコトコは起こされた。
全然良くならない痛む頭を上げて点滴の処置をし、再びベッドに倒れこんだ。




「……アルベルト……。」




身じろぎするたび軋む身体が昨日のことは夢でない事を教えてくれる。アルベルトはコトコの身体を気遣ってかなり優しくしてくれたとはいえ、体力の落ちているコトコにとってはなかなかハードなひと時だった。




『アルベルト、まだ起きてる?』




時刻は深夜になろうとしていた。コトコは眠れない目を閉じてアルベルトに無線で話しかける。と、すぐに応答があった。




『起きてる。具合はどうだ?』


『ありがとう。大丈夫よ。
……いよいよ、明日ね。』


『……そうだな。』


『絶対うまくいくから。私も頑張るから。だから、』


『ああ、俺たちも絶対に負けない。だろ?』


『うん。』




暗い天井を見ながらコトコはアルベルトと会話を続けた。明日は009の起動実験であり、ギルモア博士の計画を行動に移す時だった。




『何とか、コトコも一緒に…』


『もう、それは無理だって言ったじゃない。心配しないで、私は大丈夫。』


『コトコは強いな。』


『そうよ、今更何が起きたってへっちゃらよ。もう寝なきゃ。明日に響くわ。』


『おやすみコトコ。愛してる。』


『おやすみアルベルト。私も、大好きよ。』




無線を切って大きなため息をひとつ。コトコの目からは静かに涙が流れていた。




「私も……いきたいよアルベルト……みんなと一緒に、いきたい……。」




彼女の呟きは誰にも聞かれる事なく暗い天井に吸い込まれていった。




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